「ぱちんこへの依存防止対策」など8点に言及/警察庁保安課・山田課長講話

次に、射幸性の抑制に向けた取組についてお話しします。

射幸性の抑制に向けた業界の取組として、遊技機製造業者団体が新たな遊技機基準を設け、平成27年6月、全日本遊技事業協同組合連合会が、新基準に該当しない遊技機の削減目標を定め、業界を挙げて、こうした遊技機の撤去に努めた結果、昨年12月を期限に定められていた削減目標値については、営業所全体としては、その目標を達成したとのことですが、営業所別に見た場合、目標を達成できていない営業所が散見されたと聞いています。中には、そもそも削減に向けた努力も行われなかったとみられる営業所もあったと聞いており、残念に感じております。

また、「メーカー団体が特に高い射幸性を有すると区分した遊技機については、ホールはこれを優先的に撤去する」とした6団体合意のとおりには必ずしもなっておらず、むしろ、こうした遊技機を積極的に残そうとする動向さえ見られたとの話も聞いており、こうした点について非常に残念に感じています。

削減目標値の設定は昨年12月までとされていたところ、本年4月、全日遊連は、「特に高い射幸性を有すると区分した回胴式遊技機」について、改めて削減目標を定めたと承知しております。

また、先ほど述べた、「特に高い射幸性を有すると区分した回胴式遊技機」を積極的に残そうとする動向を受け、全日遊連は、こうした動向は射幸性抑制に向けた取組の趣旨を蔑ろにするものだとして、

・高射幸性回胴式遊技機の設置可能台数を増やすため、客が遊技をすることを想定していないような遊技機を設置して総設置台数を増やす、「取組を逃れるための増台行為」を行わないこと

・高射幸性回胴式遊技機の設置比率については、目標値の範囲内で一時的に増減することはあっても、高射幸性回胴式遊技機の早期削減に向け、一貫して「減少傾向」となるよう努めること

を徹底することとしたものと承知しています。

ぱちんこへの依存問題等により、ぱちんこ業界に対し、国民から厳しい視線が向けられる中、業界が自主的に実施すると決めたことが実施できない、また、取組の趣旨を蔑ろにするような行為がみられるという状況では、ぱちんこが国民の大衆娯楽として受け入れられることは難しいと思います。業界における真摯な取組を期待しています。

 

次に、検定機と性能が異なる遊技機の問題についてお話しします。

改めて説明するまでもないことですが、検定制度上、営業所に設置され営業の用に供される遊技機については、検定機どおりの性能であることが求められており、検定機と性能が異なる遊技機を設置し営業することは制度上許容されていないばかりではなく、極端な場合には風営適正化法が禁止する著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置していることにもなりかねません。

誠に残念なことですが、営業所において遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、いまだに継続して発生しております。これまでにも、そのような事案は射幸性の適正管理を侵害する悪質な不正改造事案であると申し上げておりますが、依然、客寄せ等営業者側の都合により入賞口付近のくぎを開け閉めしていた事案が発生しているところであります。

いわゆるIR推進法が国会で審議された際に、ぱちんこ業界に対して大変厳しい意見が述べられたことについては既にお伝えしたとおりですが、このような厳しい現状において、こうした問題が続くようであれば、業界の信用は大きく損なわれ、国民の支持を前提とする大衆娯楽という地位から大きく離れてしまいます。

今回の規則改正では、射幸性の抑制の観点からではありますが、ぱちんこ遊技機にも「設定」の導入が認められたことから、くぎ曲げの抑制にも資するものと考えています。こうした改正を踏まえてもなお行われるくぎ曲げについては、とりわけ厳しく取締り等を行う必要があると考えています。

今後はくぎに関する問題を生じさせないという意識が、遊技機製造業者、ぱちんこ営業者の枠を超えて、業界の方々に広く定着することが必要だと考えております。業界横断的な組織である貴協会におかれましては、正しい認識を全国の各組合員に理解していただくよう周知徹底を図ることはもとより、業界全体をリードして、こうした問題の絶無に向けて積極的に尽力されることを期待いたします。

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