一般社団法人RCPG(西村直之代表理事)は2月28日、都内千代田区のTKPガーディンシティPREMIUM神保町でギャンブル依存問題の全体像をテーマとするセミナーを開催。西村直之代表理事による基調講演のほか、精神科医や弁護士等によるパネルディスカッションが行われた。
基調講演の中で西村代表理事は、世界のゲーミング事業者がその経営の中心に置くResponsible Gaming(レスポンシブルゲーミング)という考え方を紹介。Responsible Gamingとは、ギャンブリングに関連して起こる可能性がある害について、それを予防し、できるだけ少なくするための枠組みとその実践のことを意味する。
枠組みの中には、事業者の自主的な取り組みにとどまらず、自治体や国の政策、法制までが、独自にまたは協働する様々な形が存在している。Responsible Gamingの主眼は、すでに起こってしまった問題に対する後からの対策だけでなく、ギャンブリングの負の問題が起こる前に対策を講じ、より健康的な行動習慣を促進することにあるという。
またここで言うギャンブリングとは、一般的に使うギャンブル(=賭博)という言葉とは若干意味が異なり、「人が何らかの自分にとって価値があるものを失う危険を冒して偶然に賭ける行為」を総称して使う言葉だ。従って、日本を例に挙げると、公営競技や宝くじといったギャンブルのほか、パチンコやパチスロ、ゲームコンテンツ内のガチャ、さらには証券への投資など、全てギャンブリングに分類される。
そして、ギャンブリングの習慣により、仕事、人間関係、健康状態などに問題が生じている状態や人のことをProblem Gambling(プロブレム・ギャンブリング)と呼ぶ。
西村氏は世界のギャンブリング産業の動向として「かつては、問題が起きた参加者や参加者に起きた問題への対策が主だったが、現在は、問題発生の予防と安全に遊んでもらう働きかけなどが対策の焦点。地域産業として持続的に発展するための社会貢献にならなければ産業が成り立たず、政策立案もその点を考慮して取り組まなければならない。つまりProblem GamblingからResponsible Gamingへと対策が大きくシフトしている」と説明。その一方で「日本で現在行われている議論は、残念ながらProblem Gambling。世界の動きに対し、日本も世界と会話ができるレベルになれるかが問われている。私は日本もそのレベルになるべき」と語った。
一般社団法人RCPGは統合的な学術的知見に基づき、ギャンブル等依存問題に対する必要かつ適正な対策を行なう団体。NPO法人リカバリーサポート・ネットワークやNPO法人ワンデーポートのほか、既存のカジノ、公営競技、パチンコなど、ギャンブル等依存問題の研究や対策に取り組む国内外の団体と連携し、情報共有を進め、全てのギャンブル等依存問題に対し、対策の実施や提言を行なっていく。
一般社団法人RCPGの西村直之代表理事による基調講演