回収対象機の年内撤去 正式要請/行政講話

3点目は、児童の車内放置事案防止についてです。

各ホールを始めとした各業界関係者が広く取組を継続した甲斐もあり、昨年中の死亡事故の発生は認められなかったところでありますが、巡回活動等により例年数十件もの児童の発見事案が継続していることを考えれば、予断を許さない状況が続いているものと言わざるを得ません。本年も、これから暑い時期を迎えますが、油断することなく各種未然防止対策を積極的に進めていただきたいと思います。

のめり込み問題は、ぱちんこ遊技の負の側面と言われることもありますが、この負の側面から目を背けることなく、問題解決に積極的に取り組むことが業界の社会的責任であることを自覚していただき、先にお話しした射幸性の抑制に向けた取組と相まって、引き続き業界全体で真摯に対応していただきたいと思います。

次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。

近年の不正改造の手口は、周辺基板のロムのプログラム改ざん等を偽造ケースや疑似カシメで隠蔽するなど、ますます悪質巧妙化しております。このような厳しい状況の中、貴協会ではこれまでも精力的に不正改造防止対策に取り組まれ、業界としても不正改造情報の収集やこれを活かした不正に強い遊技機づくり等の様々な取組を推進し、一定の成果が挙げられているものと承知しておりますが、このように悪質巧妙化している不正事案に対しては、ホール、メーカーという垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で模索し、効果的な施策を推進していただきたいと思います。

また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、本年で10周年を迎えたとのことであり、業界の健全化に欠かせないものとして、その役割の大きさを皆様も実感しているところではないかと思います。活動開始以来、立入検査店舗数が昨年度末時点で2万2千店舗を超え、検査台数も実に15万6千台に上る実績を有することに加え、この立入検査を端緒に検挙に至った事例も多数あり、様々な形で成果を挙げております。このような有意義な取組である推進機構の調査に対する業界の理解は、徐々に深まってきていると感じておりますが、一方で、未だに推進機構の活動に対する理解が低いホールもあると聞いております。推進機構の活動が効果的に行われるためには、推進機構に対する各店舗ごとの理解が不可欠でありますので、立入検査を拒否したり、妨害するような行為は、不正改造の根絶を目指す業界全体の取組に逆行する行為であるとの共通認識を更に広め、業界全体で不正改造の根絶を目指す気運を高めていただきたいと思います。警察といたしましても、引き続き、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。

次に、遊技くぎの問題についてお話しします。

遊技くぎに関する問題の経緯についてはご承知のとおりですが、昨年11月に当庁からホール関係5団体に対し、検定機と性能が異なる可能性のある遊技機について、可及的速やかに撤去をするよう要請したことを受け、本年1月、貴協会を始めとする14団体の連名により、業界を挙げて当該遊技機を可及的速やかに回収・撤去を行うことの声明の発表がなされたところであります。

その後、日本遊技機工業組合から、本年2月と3月の2回に渡り、回収対象遊技機として45型式約14万台が発表され、各ホールにおいては、営業所に設置されたそれらの遊技機の撤去が進められていると承知しております。残りの回収対象遊技機については、当庁から早急に回収対象遊技機を調査して発表するよう日工組に働きかけており、今後近いうちに、日工組から残り全ての回収対象遊技機が発表されるものと思いますが、貴協会にありましては、それらの回収対象遊技機が一刻も早く市場から撤去されるよう、遺憾なくリーダーシップを発揮していただきたいと思います。当庁としては、年内に撤去対象遊技機が市場からなくなるよう、業界として最善の努力をすべきと考えておりますが、貴協会にありましても、具体的にいつを期限に撤去するという声明を関係団体とともに発表するなど、撤去の実現に向けた具体的な行動を取っていただきたいと思います。

その上で、撤去・入替を進めていくに当たり、各営業者の正しい理解が必要となりますので、ご承知のこととは思いますが、重ねてお話しさせていただきます。著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置して営業することについて、風営適正化法違反となることは言うまでもありませんが、仮に製造業者が出荷段階でそのような遊技機に該当する性能変更に関与していたとしても、営業者がそのような遊技機を設置し続けることは、営業者として風営適正化法違反となる行為となります。製造業者の関与があるからと言って、営業者の風営適正化法上の責任が免責されるわけではありません。今後、円滑な撤去を進めていくに当たり、新しい適正な遊技機を順次導入していくことが有効でありますが、撤去対象遊技機の設置にこだわる一部の営業者は入替に躊躇することも考えられます。しかしながら、検定制度上、検定機どおりの性能の遊技機を設置することが求められていることからすると、撤去対象遊技機をそのまま設置し続けることは、制度上許容されていないばかりでなく、極端な場合には、風営適正化法が禁止する著しく射幸心をそそるおそれのある遊技機を設置していることにもなりかねないことを正しく理解していただきたいと思います。

また、当然のことですが、撤去対象遊技機の入替として新たに設置した遊技機について、検定機どおりの性能のままホールにおいて営業の用に供することとなるようお願いいたします。いくら撤去対象遊技機を撤去したからと言って、入れ替えた遊技機を、撤去対象遊技機と同様に、検定機と異なる性能で営業の用に供するのであれば、今回の取組も健全化に資するものとはならないのは言うまでもありません。

残念なことですが、撤去対象遊技機におけるメーカーの問題とは別に、ホールにおいて遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、未だに継続して発生しております。昨年6月の講話においても、そのような事案は、射幸性の適正管理を侵害する悪質な不正改造事案であると申し上げておりますが、それ以降も、客寄せ等営業者側の都合により入賞口付近のくぎを開け閉めしていた事案が発生しているところであります。今回のくぎの問題を通じて、業界としてきちんと襟を正すためには、単に撤去対象遊技機を回収して新しい遊技機を導入するだけでいいはずはありません。日工組によれば、今後販売される適正な遊技機のベース値は30台程度のものが想定されておりますが、この本来の性能を不当に変更することなく営業の用に供されることが、当然求められております。

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