回収対象機の年内撤去 正式要請/行政講話

まず、射幸性の抑制に向けた取組についてです。

ぱちんこ産業の現状について申し上げますと、公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2015」によれば、平成26年中の市場規模は24兆5千億円、ぱちんこ遊技への参加人口は、1,150万人となりました。市場規模を遊技人口で割ってみますと、一人当たりの年間遊技費用の概算が算出されますが、200万円を超える遊技費用となり、依然として高額の費用を遊技に投入するいわゆるヘビーユーザーに頼った営業が続いているものと推察されます。あくまで一例ではありますが、業界の皆様にあっては、こうしたヘビーユーザーに偏った、いわば射幸性頼みの営業が、果たして、ぱちんこにのめり込んでいる方を家族に持つ方々を始めとして、多くの国民の理解が得られるものかどうか、改めて考えていただきたいと思います。「客が射幸性の高い遊技を求めるのだから仕方がない」という言い訳は、これだけぱちんこ依存を問題視する声が大きくなった現状においては、もはや通用するものではありません。ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、今の営業実態とぱちんこに対する国民感覚とは大きく乖離しているのではないかと危惧しております。

そのような状況の中、昨年来、行政講話等様々な機会を通じて、各業界団体に対し、射幸性の抑制に向けた取組をお願いしてきたところ、メーカー団体が新たな遊技機基準を設け、ホール団体としても、その基準に該当しない遊技機について、原則として認定申請を行わないこととし、段階的に当該遊技機の設置を減らしていく目標値を定めていただきました。現在、業界において目標の実現に向けた努力が進められているものと承知しておりますが、その実現に必要な業界団体間の調整を含め、今後も貴協会が業界全体をリードしていただきたいと思います。また、今後市場に投入される遊技機についても、適度に射幸性が抑えられたものとしていく必要がありますが、その製造・開発をメーカー任せにすることなく、遊技客が手軽に楽しめるという観点に立った要望・意見を、ホール側から製造業者側に提案していくことが効果的ではないかと考えております。貴協会におかれましては、それらの射幸性抑制のための取組が、実際に遊技台の前に座るユーザーに届く対策となり得るのかという尺度で見極め、実効的な射幸性抑制策の実現に向けて、各関係団体を牽引する役割を担っていただきたいと思います。

次に、いわゆるのめり込み問題を抱えている方への対策について3点お話しします。

1点目は、昨年、21世紀会として策定していただいた「パチンコ店における依存(のめり込み)問題対応ガイドライン」及び「同運用マニュアル」についてです。

ぱちんこ店におけるのめり込み問題については、遊技を提供する立場にある業界において、自ら積極的に取り組むべき課題として認識され、対策の検討が進められていることが重要だと認識しております。この業界を挙げた取組の目的は、のめり込みを未然に防止し、のめり込んだ人が抱える問題解決に寄与するとともに、その家族を始めとした関係者の理解を得ることでもあると承知しておりますが、その実現には、このガイドライン等がどのように現場で運用されるかが重要であると考えております。実際にガイドライン等を運用していくホールの現場への指導教育を今後も継続して実施していただくことに加え、必要があれば、ガイドライン等を更に実践的なもの、効果的なものに改定していくことも視野に入れるなど、今後とも適切なフォローアップを随時実施していただきたいと思います。

2点目は、認定特定非営利活動法人リカバリーサポート・ネットワークについてです。

同法人に寄せられた平成27年中の電話相談件数は2,967件であり、依然として電話相談を必要としている方の存在がうかがわれる状況にあり、引き続き、業界全体で同法人を支援していく必要があります。昨年8月には、全国遊技機商業協同組合連合会において、リカバリーサポート・ネットワーク支援室を立ち上げ、相談業務の負担軽減に寄与していると聞いており、のめり込み問題への取組の重要性が業界の中でも浸透してきたとして、大変心強く感じております。貴協会におかれましても、引き続き、広報ポスターの掲示等、営業所内外における広報啓発等の取組を推進することで、ぱちんこに問題を抱える方に対し相談窓口の門戸が開かれていることの認知度を高めていただくとともに、同法人の事業活動に関する負担を考慮し、更なる支援をお願いいたします。

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