【コラム】変容するパチンコ店。娯楽場からギャンブル場へ?(WEB版)/チャーリー・ロドリゲス・湯谷

1. 年金不足を「低貸パチンコ」でカバーしようとする高齢者
クライアント先のお客様を集めて「グループインタビュー」を行ってから15年程になりますが、特に60歳以上のプレイヤーの嗜好が大きく変化していることを実感しています。現役世代から引退し、年金生活メインとなった人は、日々の年金不足をパチンコで補いたい、という、ややもすると「ギャンブル依存」傾向の人も多く、それだけ日頃の生活が逼迫している窮状が伺えます。

高齢者ユーザーが口を揃えて意見するのは「時間があって暇を持て余しているが、遊ぶお金がない」「長く、毎日遊ぶためにも大当たり確率が甘く、再プレイサービスをしている店舗を選んで遊んでいる」という点でした。また、以前より勝ちにこだわり、余暇というより「暇つぶしとギャンブル」がトレンドのようです。電車や車で移動することを極端に嫌い、近隣店舗で常連化するのも顕著な傾向のようです。

この流れを「良し」とするのか?それとも高齢者を主要ターゲットから除外していくのか?は、お店のコンセプトによるところですが、収益は上がりづらくとも「稼働優先」「投資抑制」「高齢者の遊び場として存在」とするのか?判断が必要になると思いますし、今後は高齢者がますます増加していくのが確実視されていますから、十分に戦略を練ることが必要と考えます。

2. 遊技機性能は、社会の景況感と相関はない
現在の遊技機性能は、社会の景況感と相反して「ギャンブル化」が一気に進んでおります。出玉性能を高めるために、ベースを抑え、当たりまでの「現金投資の大きさ=売上の高さ」を優先させることで、反比例するようにユーザーが離反しています。既に、パチンコやスロットに「ついていけない」という声も高まっており、それでも「射幸の高さ」を追求していく業界の姿勢は、ある意味、大衆娯楽としての存在から脱却したい、という事なのかも知れません。

つまり、厳しいですが「社会の状況・ユーザーニーズよりも、商売優先」ということですね。よりレートの高いギャンブルにして、より可処分所得の高いユーザーをターゲットとした「業態=事業」を目指す方向性に進んでいます。長年、業界も紆余曲折してきた結果、射幸追求と巨額投資がビジネスモデルの中心になっていますし、これからもパチンコ店は「ギャンブル業」として変容していくのでしょう。

良し悪しではなく、これが「時代の流れ」であり、店舗もその流れについていけなければ大きく業態を変えていく必要がありますし、その決断の時も近づいている、そのような雰囲気を感じるところです。

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