【特別寄稿】パチンコ産業の歴史⑩ 国家公安委員会規則の改正と「新要件機」の登場(WEB版)/鈴木政博

2. 規則改正の主な内容
1990年の規則改正について、主なポイントを抜粋した。まずは「おまけチャッカー」「一発台」を禁止する部分。「入口が開き、又は拡大した入賞口以外への入賞口への遊技球の入賞が容易になるものでないこと」として、アタッカーやチューリップが開放した状態で、他のチャッカーへの入賞が容易になるものを禁止。これにより、「オマケチャッカー」を禁ずると同時に「一発台」も大当たり中に玉を増やせるゲージ構成ができなくなった。また「一発台」に関しては「遊技球を入賞させることができない入賞口を有しないものであること」として、「閉じないチューリップ」にしやすいゲージも禁止。事実上、両者は以降の開発が不可能となった。
ただし、規則を正しく守った範囲内であればということで、出玉性能に関しては緩和されている。まずは第1種(デジパチ)。改正前は「10ラウンド・10カウント・賞球13個」までであり、最大1,300個が大当たり出玉の上限であった。この規則改正で「16ラウンド・10カウント・賞球15個」となり、最大2,400個までの出玉が可能となった。実際には「おまけチャッカー」により4,000個を超える出玉もある遊技機が市場に出回っていたのだから「緩和」と呼べるかどうかはともかく、これで規則上、問題のないものとして「2,400個」までは出玉を獲得できるようになった。

フィーバースパークGP

「新要件機」第1号機となった「フィーバースパークGP」(SANKYO製)

また第2種(ハネモノ)に関しても第1種と同じ内容となる。改正前は「8ラウンド・10カウント・賞球13個」だったのが、同じく「16ラウンド・10カウント・賞球15個」となった。ただし、ハネモノの場合は「初回のV入賞」が1ラウンド目にカウントされるため、実質出玉では「8ラウンドから15ラウンドへ緩和」された事となる。ハネモノの場合はハネがフルオープンになるわけではないので第1種より若干獲得出玉は劣るが、それでも一度の大当たりで最大2,000個に迫る出玉を獲得できることとなった。ただし、やはり「ハネモノで1,500個以上」というのは、ハネモノ特有の「遊べる遊技機」からかけ離れすぎたためか、序盤に多数の16ラウンド機が登場したものの思ったよりも市場受けせず、最終的にはハネモノは800個程度の機械に回帰していくこととなる。

ニューモンロー

「新要件機」 になりハネモノの出玉が大きく増加した「ニューモンロー」(ソフィア・西陣製)

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