まずは外装は、全力でギラッギラ。歌舞伎町の風俗ビルのような、バンコクはパッポンのような、ピンクの電球輝く原色看板が目をひきます。ドアをくぐれば、ドンツクドンツク激速トランスとタンバリンの大音響、◯番台スタートォォォ!の濁声マイク……、いやそれはさすがに怒られそうなので、惜しいですけど特注BGMは楽しみたい客だけのイヤホンに向けてBluetoothで飛ばします。台毎にスマホスタンド、高速Wi-Fi完備でゲームもYouTubeも自由に楽しみつつのながら打ち仕様です。もちろんイヤホンなしでマシンの音響に集中することだって可能、メダルレスで実現した静音性を、プレイヤーが自由に活かせる趣向です。そして天井にはミラーボール、激しく明滅するフラッシュライト、椅子はもちろん、背もたれ高すぎる赤いソファに揃えてあります。と、これはやり過ぎでしょうか。
店内業務の軽減されたスマート店舗ですから、従業員は少数精鋭ムッチムチのバニーさんで揃える。大当りしたらにっこり祝福、ハマりの客には頑張ってのお声かけ。キャストの写真と出勤日は事前開示して、会員様は計数・景品交換時の指名も可能です。スタッフとの密なコミュニケーションが当店のウリなんですね。看板イベントはYシャツや浴衣のコスプレデー、特定日にはオールスターキャストが揃います。出玉は一切煽りませんから、コンプラ面の心配も無用です。
そして設置マシンは、思い切って同一機種で揃えます。総台数は少ないですが、その機種を打つなら大型店にも負けないボリュームを実現。光り物専門店、ハイスペック専門店など、グループ店舗それぞれがひとつのシマをイメージした展開で、いわば分散型大型店舗を作りあげる。これぞ新時代のブロックチェーンホールです(笑)。ピンサロ系だけじゃありませんよ、イケメンスタッフを揃えたおばさま向け、深山の四季をイメージした和テイスト、ラップの流れるストリート系、最新韓流グルメが味わえたり……。アイディアは無限です。
小規模を逆手にとり、既存大型店では不可能な徹底したディテールへのこだわりで、まったく新しい遊技環境を実現する。むしろ出玉よりもコンセプトで楽しませる、パチスロ遊技とホールの常識を覆す、スマスロそして続くスマパチがもたらす新時代です。もちろん僕の妄想など(ナンセンスな?)一例に過ぎませんし、はるかに突き抜けたホールだって作れる可能性は十分にあるでしょう。こんな時代にだって、ワクワクする夢が語れる、これこそが出玉やスペックよりも大きな、スマート遊技機の価値に思います。エンタメ総本山パチンコ業界の本気を、今こそ見せてほしいと願うまんぱつでした。
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。