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【コラム】ゼロコロナ政策が続くマカオ カジノ業界の置かれた状況はいかに?(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2022年11月28日 更新日:

業界の総支出は前年から15.2%増の534.8億パタカ(約9749億円)。営業費用が45.4%増の144.7億パタカ(約2638億円)、購買・コミッション・顧客へのリベートが18.1%増の111.4億パタカ(約2031億円)となったのが主要因で、これらが支出全体の5割近くを占めた。このうち、いわゆるコンプ(ホテル宿泊、飲食、商品、サービス等の顧客への無料提供)費用が59.0%増の73.7億パタカ(約1343億円)。従業員支出は2.0%増の201.0億パタカ(約3664億円)で、支出全体に占める割合は37.6%。このほか、利息支出が15.0%増の44.6億パタカ(約813億円)に膨らんだことで、営業外費用が6.1%増の77.7億パタカ(約1416億円)に。

業界の経済貢献を示す付加価値総額は49.7%増の626.5億パタカ(約1兆1420億円)。業界の利益は92.3%増の425.5億パタカ(約7756億円)、利益率は12.1ポイント上昇の48.2%、経費利益率は36.5ポイント上昇の93.1%で、経営効率は前年から顕著な改善がみられた。このほか、大規模施設の完成、供用開始があったことにより、業界の総固定資本形成は13.0倍増の264.3億パタカ(約4818億円)となった。

同じツーリズムセクターに属するホテル、旅行会社に関する2021年の調査結果も公表済みだが、いずれも業界として赤字だった。カジノに関しては、コロナ禍でカジノ売上が低迷する中でも利益を確保し、また高い利益率を維持できているのは、特異といえよう。統合型リゾートの運営において、やはりカジノの存在は大きい。

今年(2022年)も第4四半期に入ったが、マカオのカジノ市場については前年割れが予想されている。今後の見通しについては、ゼロコロナ政策からの転換の有無次第といったところとなり、他力本願というのがもどかしい。

2022年7月の準ロックダウンでマカオのカジノは2020年2月以来となる再度の一時営業中止を余儀なくされた(資料)=筆者撮影

2022年7月の準ロックダウンでマカオのカジノは2020年2月以来となる再度の一時営業中止を余儀なくされた(資料)=筆者撮影

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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