【コラム】ラスベガスとマカオのカジノ売上回復ペース 対コロナ政策の違いで明暗くっきり(WEB版)/勝部悠人

マカオの場合、カジノ売上に占めるインバウンド旅客の割合が極めて高いとされ、カジノ売上ベースで約97%を占めるとする研究結果が存在する。

中国(香港・マカオ含む)でもワクチン接種は進んでいるが、流行初期から現在に至るまで、「ゼロコロナ」政策を堅持している。マカオにとって影響が大きいのは、水際措置によるインバウンド旅客数の低迷が続いていることだ。平時のマカオの総インバウンド旅客数の約7割を占めるのが中国本土からの旅客となっている。マカオと中国本土との間に限っては、2020年第4四半期までに一定の条件付きで隔離検疫免除での相互往来が再開され、2021年のカジノ売上回復のきっかけとなった。しかしながら、2021年以降も中国本土の各地で再流行が散発するほか、マカオでも市中感染確認例が出現しており、水際措置の調整(一時強化)が図られることもしばしば。インバウンド旅客数の右肩上がりの回復が実現せず、カジノ売上が政府予想未達となった主要因となっている。なお、2022年についても、カジノ売上予想は前年から据え置きとされたが、達成の可否は水際措置の調整がどれほどあるか、中国本土に次ぐ2割のインバウンド旅客シェアを占める香港との隔離検疫免除での相互往来が実現するか次第。ウィズコロナ政策を採用し、かつドメスティック市場を擁するラスベガスとの大きな違いといえる。

マカオのGGRがラスベガスを上回ったのは2007年のことで、以降、マカオ市場の急成長に伴い、その差は大きく広がった。しかし、2021年の両地のGGRの差は約4500億円にまで縮まっている。2022年は始まったばかりだが、場合によってはラスベガスが世界一の座を奪回する可能性もないとはいえない。

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