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【コラム】コロナ禍2020年 マカオのカジノ業界の直接投資は約8500億円流出に(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2021年11月26日 更新日:

あらためてデータを眺めると、コロナ禍がマカオのカジノ業界に与えたインパクトの大きさに驚かされる。これはあくまで去年の話だ。上述の通り、すでにマカオのカジノ売上は昨年時点で底打ちしているため、各種指標は今年から改善に転じるものと予想される。

今後について、リスクが全く存在しないわけではない。マカオのカジノ売上が復調に転じた最大の理由は中国本土との往来制限が緩和されたことにある。よって、中国本土とマカオにおける状況がいずれも落ち着いているという前提に成り立つ。先に今年1〜10月累計のマカオのカジノ売上は前年同期比でプラスと書いたが、実は直近の10月単月では対前年で9ヶ月ぶりのマイナスとなり、年初来最低を記録した。9月末から10月初旬にかけてマカオで市中感染確認例が相次いだことで、往来制限が再強化されたことによる。隔離検疫免除での往来が約3週間にわたってストップし、再開後も往来に必要となる新型コロナ陰性証明の有効期間が48時間以内(従来は7日間以内)とされたことで、インバウンド旅客が激減。月初には年間最大の書き入れ時のひとつに数えられる国慶節の大型連休があったが、不発に終わる結果となった。厳格な防疫措置を講じている中でも、このような事態が実際に起こっているため、安定を維持することは容易ではない。

中国本土とマカオ、香港はいずれも「ゼロ・コロナ」を掲げ、防疫措置の水準を合わせており、まずはこの三地間で隔離検疫免除の三角往来の実現を目指している。マカオのインバウンド旅客数に占める中国本土と香港の割合は約9割(2019年)。一方、防疫措置の水準が異なる日本を含むその他の国・地域との往来正常化については、まだしばらく時間がかかりそうだ。

統合型リゾート施設が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の様子=筆者撮影

統合型リゾート施設が建ち並ぶマカオ・コタイ地区の様子=筆者撮影

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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