ホール4団体の誓約書確認機関もたとえば沖ドキ非撤去の確認ばかりに手を取られているわけにはいかない。むしろ4団体、あるいは業界6団体にとっては、今年の11月末に終了する21世紀会決議のスムーズな実施と運用について、まだまだ詳細を詰めないといけない点はいくらもある。15%ルール、オリパラ期間のバッファ、ペナ運用のものすごく細かい部分など、全日遊連内の応酬合戦とは別に粛々と協議を重ねている。
遊技機の仕様についての自主規制の整備・緩和は、ありがたいことにまだベクトルとしては続いている。しかし、そのニュアンスというか進み具合はあまりよろしくない。先行しているぱちんこについても日工組は各組合員メーカーに対して誤解を招くような販促をしないように繰り返し念押ししている。パチスロについても有利区間関係で自主規制の緩和の話の協議が続いていたはずだが、その歩みはとても遅く、今は別の技術案件について再び日電協と警察庁とが協議している状況だ。
PSいずれも規制緩和の方向が続いているのは事実なのだが、まだ旧規則機が大量に残っている市場においてはその実感はほとんど感じることができない。あくまでも現行規則機に絞って、3年前の2月以降の型式試験等については、緩和が続いているというだけである。一昨年よりも昨年、昨年よりも今年の方が遊技機メーカーにおける開発企画環境は有利になっているのは事実だが、ホールがそれを実感することは難しい。この傾向がまだ数年続くとすれば、今年12月以降の市場の中で、たとえば来年の後半に「昨年の末よりは新機種の性能が良くなりつつあるように思える」程度の実感になる。この良くなる程度の幅を大きくするのがせめてのメーカー団体の共通の狙いである。いまも続く緊急事態宣言下での警察庁との協議の重要性は例年以上に重要となってきた。
3月に入って残念なニュースもあった。4月後半納品を予定していた牙狼が2か月ほど延期となった。サンセイによると地震の影響で部品調達難とのこと。テレビCM解禁のタイミング、ゴールデンウィーク商戦のタイミング、この時期の明らかな最注目機種だっただけに2か月遅れたのは市場的にも正直痛い。しかし延期そのものは決まってしまっただけに、特にゴールデンウィーク商戦の注目機の穴埋めを牙狼の台数を確保していたホールは急いだし、ぱちんこメーカー側も代替機需要にあわせて供給できるか競争という展開になった。約1か月半ほどというタイトなスケジュールでの予定変更だが、昨年のゴールデンウィークが休業のため0業績だった店が全国的にはほとんどだから、今年こそ、という想いも強くなる。必然、ホールもメーカーも職域問わず目の前の戦術変更対応に追われている。
今年、業界動向はもちろん重要には違いないが、世相を強くコントロールするのはやはりコロナ対策の内容だ。緊急事態宣言前、すなわち昨年11月後半からホールの業績回復基調は反転し、また前年同時期比減というトレンドに陥った。本稿が世に出る頃には首都圏も緊急事態宣言が明けているかと思われるが、さらに今年緊急事態宣言が出てしまう懸念もある。その意味では、世相を変えてしまうことができる政府の施策をも変えるであろうワクチン接種とその効果。ワクチンがどこまで奏功するかが6月くらいまでに判明し、かなり効果があるということになれば、今年の後半はようやく通常の営業の自由が戻るかもしれない。今は、そこに一縷の望みを持ちつつ、目の前の状況にひとつひとつ地道に対応する以外にないだろう。
コロナ禍が落ち着けば業界と警察庁との協議・折衝もスピードは増す。まずは現行規則機しか新機種が出ない今、現行規則機の規制緩和のスピードを増せるように、業界的には日工組、日電協の対警察庁折衝を皆で応援するくらいのイメージを持っておきたい。機械が良くなってコロナ禍が落ち着けばまだまだ伸び代、いや回復代はかなりのものがあるはずだ。
多くの業界関係者が業界からこれ以上いなくなる前に業況回復を願っている。そんなことを強く感じた2月からの一か月であった。
■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。