2月は暦が一年で最も短いはずだが、業界事情的にはかなりいろんなことがあった月になっている。
11都府県にまで拡大した緊急事態宣言が栃木県を除いて一か月延長となったわけだが、緊急事態宣言地域の中心である東京在住である私にとっては、昨年からずっとコロナ禍が続いているような印象を持っている。多くの東京都民は昨年の宣言時からライフスタイルが大きく変わっていった。ぱちんこ業界に限定しても、私の知人の会社のかなりの数が多かれ少なかれリストラ等を断行した。事務所を小さくしたところもあるし、人員を削ったところもある。年末年始にかけてリリースを出している点でいえば遊技機メーカーのリストラが目立っているように思えるが、ホールの不採算店舗閉店もこの一年間で随分と増えた。新規出店のペースが落ちているのは明らかなのでやはり昨年は全体的に市場縮小の幅が大きくなってしまったということが言える。
コロナ禍で不要不急の消費が、という文脈は一面では真実で一面ではそうでもない。東京都の場合は若者の行動が緊急事態宣言中もアクティブだということがしばしば指摘されており、東京都も政府も若者に自重を促すアナウンスを繰り返し発している。また、年配層の行動パターンもコロナ禍が一年も続くと変わるようで、拙宅周辺の特に昼間の状況は、コロナ禍以前と比較してもかなり人出が回復しているように感じる。拙宅周辺はURがものすごくたくさんある地域でそもそも年金生活者が極めて多い街である。昨年の春頃は駅周辺の昼間の人出が激減していたこともあったが、今は普通だ。夜は夜で飲食店はほとんど閉まっているため人出が少ないように見えるが、コンビニやディスカウントストアなど営業している店の集客がむしろ増えているようにも見える。
ぱちんこ営業については、少なくとも2月の後半は業績が少し上向いた印象だ。継続的なものかそれとも単なる年金支給月の特有の増加かはもう少し時間が経過しないとわからないが、消費者の緊急事態宣言慣れ、ということもありそうな気がする。
2月は緊急事態宣言の一か月延長、さらには独自の宣言を出していた県も延長、という状況になったが、さらに首都圏の1都3県は2週間、緊急事態宣言を延長した。本稿は2回目の延長が始まったタイミングで書いている。
業界事情的には、やはり全日遊連執行部と栃木や茨城の遊協理事長との応酬が注目を集めている。これが20年前なら単なる業界村社会内の出来事として世間に晒されることはなかっただろうが、今は情報流布社会だ。業界内コミュニティに限定されることはなく、今やSNS上などを探せば全日遊連執行部の文書、栃木側や茨城側の意見書も誰でも普通に見ることができる。これらの応酬が世間に晒されることによって「ぱちんこ業界は自分らで決めた自主的な取組を守れないところ」という誤ったタグがつくことを懸念してしまうが、ファクトはまだまだゆるぎない。90%を大きく上回る21世紀会決議遵守率というのが本稿執筆時点での事実である。エンドユーザー向けに何かしらの発信をする機会も多い私にとっては、そういう発信も心がけていきたいところだ。