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【特別寄稿】「ジャックポットシステム」のぱちんこ機について/鈴木政博

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4. 「ジャックポットシステム」の仕組みについて
この2機種は、どちらも基本的な仕組み自体は前述した「P貞子vs伽椰子 頂上決戦」や「Pひぐらしのなく頃に〜廻〜」などで採用されていたものに近い。まずは「ぱちんこ 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ キュゥべえver.」の特図2の見た目上の振り分けを見てみたい。

(見た目上)特図2の振り分け

・10.1% →10R
(電サポ中)電サポ295回
(非電サポ中)電サポ295回
・40.2% →10R
(電サポ中)電サポ295回
(非電サポ中)電サポ25回
・49.7% →3R
(電サポ中)電サポ25回
(非電サポ中)電サポ25回

しかし、このままだと残保留4個よりも時短25回の方が圧倒的に長いため、通常RUSH中でも、電サポ25回中に50%以上ある10Rを引いたら、これらは全て「アルティメットRUSH」に突入してしまう事になる。ではどうやって突入率を10.1%まで抑えているのか? 実は、厳密には以下の様な振り分けになっていると考えられる。

(実際の仕様)特図2の振り分け

・10.1% →10R
(電サポ中)電サポ295回
(非電サポ中)電サポ295回
・40.2% →10R
(電サポ中)電サポ295回
(非電サポ中)電サポ25回 または小当たりまで
・49.7% →3R
(電サポ中)電サポ25回 または小当たりまで
(非電サポ中)電サポ25回 または小当たりまで

一部大当たりに「または小当たりまで」という条件が付いている。こうする事で、時短25回中に小当たりを引いた場合、「小当たりした瞬間に電サポは終了」する。つまり「小当たり」→「時短終了」→「V入賞」→「大当たり」という流れになるため、時短25回中に小当たりした瞬間「電サポ中」ではなくなり、V入賞して大当たりする瞬間は「電サポ終了後」、つまり「非電サポ中」に当たったものとなる。

例えば25回の電サポ中に小当たりを引いた場合、V入賞する瞬間は「非電サポ状態」なので、それで3R大当たりとなった場合は、次回も電サポ25回となる。ただし「電サポ295回」中の小当たりであれば、この場合は「または小当たりまで」の条件がないため、小当たりした瞬間は「電サポ中」のままなので、V入賞して大当たりした瞬間も「電サポ中」となる仕組みだ。結果として10.1%の「時短295回」を引くまでは時短25回を繰り返し、一度でも時短295回を引けば、以降は10Rを引く限り「時短295回」が継続することになる。

また「ぱちんこ ウルトラセブン 超乱舞」については詳細スペックの発表を待つしかないものの、時短55回には「または小当たりまで」という条件が付き、時短496回には小当たりまでの条件が付かない仕組みが採用されていると推測される。ただし、一度「超乱舞」に突入すると最低でも時短95回になるにも関わらず、通常RUSH時の時短95回は超乱舞に突入しないようだ。これはどのような仕組みになっているのか。

ヒントは「直撃の一種大当たり」にありそうだ。前述した通り、電サポ条件に「または小当たりまで」の条件を付加すれば、小当たり経由のV入賞大当たりは「非電サポ中」となる。しかし、直撃の「一種大当たり」を引いた場合は、小当たりを経由しないため「電サポ中」の大当たりにカウントされてしまう。これはもちろん「ぱちんこ 劇場版 魔法少女まどか☆マギカ キュゥべえver.」の場合でも同じだ。上記の振り分けは、これを含めた「一種大当たり+小当たりV入賞当たり」の合算値となっていると推定できる。

では「ぱちんこ ウルトラセブン 超乱舞」だが、この機種は「一種大当たり1/199.9」で「特図2小当たり1/68.4」だ。したがって右打ち中の占有率としては「直撃の一種大当たり25.5%」と「小当たりV入賞当たり74.5%」に分かれる。この「直撃一種大当たり」を引いた場合のみ「時短496回」に突入し、この場合だけが「小当たりまで」の条件が付加しないと推定される。そうすることにより、通常RUSH時の時短95回には「小当たりまで」の条件を付加して「超乱舞」への突入を回避し、直撃の一種大当たりを引いた場合のみ、以降すべて「電サポ中の大当たり」になることによって、この複雑な状態移行を実現していると考えられる。

ただし、この「ジャックポットシステム」には一つだけ弱点もある。通常のシステムであれば、時短55回や95回中に小当たりし、万が一「Vに入賞させられない」事があっても、残りの時短が継続される。しかしこのシステムだと「小当たりまで」の条件が付加されているため「万が一Vに入賞させられなかった場合」はその瞬間、時短も終了してしまう。めったに起こり得ることではないが、その点のみは注意を払いたい。

しかし見当たる問題点もその一点のみで、トータルとしてこのシステムは非常に魅力的で秀逸のアイデアだと感じた。今後、様々な機種に採用されることを楽しみに待ちたい。
(以上)

■ プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。

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