●ぱちんこ開発者の独り言66
前回コラムでは、ぱちんこ(パチスロ)の楽曲上映権についてお話をさせていただいた(ぱちんこ・パチスロ機の楽曲とジャスラック申請について(前編))。
ぱちんこ(パチスロ)に楽曲を実装する場合は、上映権料の他に、著作権料である楽曲(出版)の基本使用料と、1台あたりの複製使用料が必要となり、既存の原盤を使用する場合には、更に、原盤の基本使用料と1台あたりの複製使用料が必要となる。
◆著作権
楽曲を使用する場合には、事前に著作権者から利用許諾を得る必要がある。例え、楽曲(メロディ)のみであったとしても、著作権者がNGを出せば、当然のことながら使用はNGである。著作権者に承諾を取り、著作物を複製し、発売頒布することを出版という。
◆原盤権
音楽を録音、編集して完成した音源に対して発生する権利のことで、著作隣接権としてレコード製作者の権利が別途存在する。
上記2つの権利が別途存在し、既存楽曲(音源)を使用して遊技機開発を行う場合は、著作権及び原盤権も別途ジャスラックに支払う必要がある。そのため、著作権(出版)だけ取得し、原盤を遊技機メーカーで新たに作成した場合などは、原盤権を支払う必要が無い。
例えば、既存楽曲をその楽曲を歌っている歌手とは違う人にカバーとして歌ってもらい、それを収録しメーカー側が原盤を新たに作成した場合などは、原盤権は当然支払わなくて良い。
次に、出版及び原盤の費用感であるが、こちらは著作権者との個別交渉になるため、一概に断定はできないのであるが、基本的な費用感は下記のイメージである。
出版 基本使用料 1曲100万円~300万円
複製使用料 1台50円~300円(MG設定あり)
原盤 出版と同条件であることが多い
当然のことながら、誰もが知っている有名な楽曲や著作権者が厳しい楽曲などは、価格は高くなりがちである。
前回同様に、「CRぱちんこAKB48-3 誇りの丘」にて例えてみる。
※あくまでも仮定であり、費用の真偽を保証するものではない。
出版 楽曲54(曲) 1曲150万円 複製使用料150円、原盤は出版と同条件と仮定した場合、
出版 基本使用料 8,100万円 複製使用料 1台150円
原盤 基本使用料 8,100万円 複製使用料 1台150円
上映権料 1台2700円(前回記事参照)
「CRぱちんこAKB48-3 誇りの丘」の販売台数は、おおよそ50,000台であることから、基本使用料を1台あたりで計算してみると、1台あたり1,620円と計算できる。
あくまでも仮定の話にはあるが、楽曲使用に関してのトータル費用は1台あたり6,240円と計算できるわけである。原盤権を除いた費用は、全てジャスラックに一時的に支払うことになるため、ジャスラックにはCRぱちんこAKB48-3 誇りの丘1機種につき、2億円以上の支払いと計算できる。
当然のことながら、これは楽曲使用料であり、PV映像などは肖像権等、別途契約が必要となる。
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。