●ぱちんこ開発者の独り言㊲
主にホール団体の総会等において、警察庁保安課による行政講話が行われることがある。先日も「遊技日本web」にてニュースとして掲載されていたが、日遊協の第29回通常総会において、警察庁保安課の山田課長より講話があった。
そちらの詳細に関しては、当該ページに講話が全文掲載されているので、興味のある方は確認していただくとして、行政講話というものは、その時々において警察庁保安課におけるぱちんこ業界への認識のすり合わせが行える貴重な機会であり、今後の業界における課題を改めて確認するものである。
今回の講話は、ぱちんこ業界における喫緊の課題でもある「ぱちんこ・パチスロの依存症問題」が最前線にきていることがわかる。その他にも、「射幸性の抑制に向けた取組」「検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の問題」「遊技機の不正改造の絶無」「遊技機の流通における業務の健全化」「賞品に関する問題」「広告宣伝の健全化の徹底」「ぱちんこ営業所における置き引き対策」など、近年取り上げられている問題が多い。その中において、当コラムでは遊技機開発にスポットをあてて言及したい。
例えば、「ぱちんこ営業所における置き引き対策」において、警察庁側から日工組に要請された内容としては、昨今の遊技機で大当り終了後に演出として発生する「プリペイドカードの取り忘れや盗難にご注意ください」という注意喚起は、置き引き対策において遊技機側でできることを検討した結果、実装が義務づけられた内容である。意外に思われるかもしれないが、こちらに関しても文言や発生タイミングなどに共通ルールがあり、それに準拠して実装されている。
また、それと同タイミングで表示される「のめり込み注意喚起」に関しても同様であり、僅かながらであったとしても遊技機側でできる対応策を検討した結果、遊技機に実装される共通ルールとなっている。
当然のことながら、遊技機開発における最も重要な対応策として、「出玉規制の基準等の見直し」が大きな問題であったわけだが、こちらに関しては、新基準機の普及どころか、新基準機がようやく適合し始めたタイミングということ、未だ、旧基準機が混在する経過措置期間であることなどを鑑みた場合、一旦、対応策を講じたため、今後の推移を見守るという状態であるのは間違いない。
今回の講話に関しても、そこへの言及が極端に少なかったことからも、そのような認識であるのは間違いないと思われる。但し、新基準機においての結果が出ていない以上は、新基準機において「成果」があるかどうかが不透明であり、その結果如何によっては、また必要に応じて対応策を講じる必要性がある。そのため、新基準機のデータ及び、今後の行政講話における警察庁保安課の見解に関しては、注視する必要があると私は考えている。
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、遊技機開発業務の傍ら、ホール向け勉強会や全国ホール団体等の講演会業務など広く引き受ける。