コラム:ぱちんこ開発者の独り言㉖
●MNRSの中身と計算方法
「遊技機の認定及び型式の検定等に関する規則」が改正されたことにより、にわかに注目された「MNRS」というワードであるが、その内容を正確に把握している人は意外と少ない。
そもそも「MNRS」とは「出玉性能」に関する数値的な取り決めであるため、MNRSの数値が高ければ高いほど、数値的な出玉性能は高いということをどれだけの方が把握しているのかが疑問である。少なくとも、ホール関係者が機械選定をする際に、「MNRS」の数値を気にしている方を私は知らない。
当然、「MNRS」は数値計算であるため、それが出玉性能の全てではないのだが、統一された一つの数値というのは、一つの指標になるのは間違いないと考える。
旧規則 M×N×R×S≦12
新規則 M×N×R×S≦10
この数式をクリアしなければ、そもそも遊技機として世の中にリリースされることは無い。
各アルファベットの意味は、下記の通りとなる。
M:作動確率
N:特別電動役物が連続して作動する回数の合計
R:特別電動役物に係る最大入賞数の最大値
S:1個の遊技球が大入賞口に入賞した場合に、獲得する遊技球の数の最大値
これだけ見ても、ピンとくる方は少ないと思われるので、できるだけ簡単に、それぞれの語句の内容を説明していきたいと思う。
【M:作動確率】
端的にいうと、大当り確率である。大当り確率というと、通常中の確率をイメージされる方が多いが、確変中にも大当り確率が存在する。アウト全体で考えた場合に、通常中と確変中の2種類に分類されるため、それぞれの滞在比率を合算し、トータルの大当り確率を算出しなければならない。
そう考えると、非常に難しいように思えるが、下記の公式を使えば簡単に算出することが可能である。
M(作動確率の期待値)=(P+1)/(A+B)
A=P/高確率
B=1/低確率
P=LOG(0.5,確変割合)
(※編集部注釈 計算式に誤りがあったため、2018年4月3日に訂正)
以上でMを算出することが可能である。
【N:特別電動役物が連続して作動する回数の合計】
大当りラウンド数のことである。例えば、ラウンド振り分けの場合、10R:80%、2R:20%だった場合は、「N=8.4」ラウンドということである。
【R:特別電動役物に係る最大入賞数の最大値】
アタッカーのカウント数のことである。
【S:1個の遊技球が大入賞口に入賞した場合に、獲得する遊技球の数の最大値】
アタッカーの賞球数のことである。
以上の内容を見てもらえばわかる通り、出玉性能に係る「確率・ラウンド数・カウント数・賞球数」全ての数値なのである。これが高ければ高いほど、出玉性能は数値的に高いということがわかっていただけるであろう。
最後に問題を出して終わりたいと思う。
低確率:1/300
高確率:1/60
確変割合:60%
ラウンド数:10R
アタッカーカウント数:9
アタッカー賞球数:15
以上の場合のMNRSはいくつになるか?
・
・
・
・
・
・
・
・
・
・
答えは「約8.342」である。
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。