コラム:ぱちんこ開発者の独り言⑳
●メイン、サブ、液晶、それぞれの役割について
先週も言及したように、メインの容量は非常に少なく限定的であるが、ぱちんこの重要な要であるのは間違いない。出玉制御以外の基本的な役割としては、時間管理と当たり判定に集約される。具体的にいうと、下記のような形になる。
・2秒はずれ (主に保4ハズレで使用)
・4秒はずれ (主に保3ハズレで使用)
・8秒はずれ (主に保2ハズレで使用)
・12秒はずれ (主に通常のハズレ変動で使用)
・16秒はずれ (主にノーマルリーチハズレで使用)
・30秒はずれ (主に弱SPハズレで使用)
・60秒はずれ (主にノーマルSPハズレで使用)
・150秒はずれ (主に強SPハズレで使用)
・16秒当たり (主にノーマルリーチ当たりで使用)
・30秒当たり (主に弱SP当たりで使用)
・60秒当たり (主にノーマルSP当たりで使用)
・150秒当たり (主に強SP当たりで使用)
かなりざっくりとしているが、このように「秒数とハズレor大当り」のみ管理されている。そのため、メインではどのような液晶演出になるのか。というのは基本的には管理しておらず、あくまでも秒数と当たり判定のみとなる。液晶演出、予告やリーチなどの管理は、サブ基板や液晶基板にて集約される。こちらに関しては、容量に関してメインに比べ大きくアドバンテージがあるため、メインから出された情報を元に、サブ・液晶にて、どの演出が出せるのか?という部分を選択し、液晶に描画されることになる。
具体的なイメージとしては、下記のようになる。
<メイン>
・150秒ハズレが選択された。
↓
<サブ>
・150秒で出せる演出は「疑似3⇒○○SPリーチに発展⇒▲▲SPリーチに発展」が出せる。
・この変動演出で出せる予告を選択する。(疑似3時に群演出、リーチ発展時役物出現など)
↓
<液晶>
サブ基板で選択された演出を、液晶に描画させる。
以上のように、メインは150秒変動を行った後、はずれる。という信号しか送っておらず、それ以外の細かい内容は全てサブ基板と液晶基板によって行われる。もっと言えば、基本的にサブはプログラムを制御しているもので、メインから送られた情報(時間と当落判定)を元に、「どの演出を選択するのか」を決定する機能を持ち、液晶は「サブで決定された演出を液晶に映す」というのが基本的な機能となる。
このように「メイン⇒サブ⇒液晶」というように情報伝達されるのが基本ではあるが、サブや液晶から、メインに情報を送る。ということは不正対策の観点から一切行うことができない。要は、何においてもメインへ情報を送ることはNGとされている。
ここまで書くと何となくピンとくる方もいるかもしれないが、よく「演出バランス」が悪いと言われることがあるが、メインの情報をくみ取り、サブにて演出シナリオを構成するため、「サブプログラムの演出シナリオの構成の仕方」如何によって、そもそも、その情報を考慮せずに選択している場合がある。具体的な事例を挙げてみよう。
「疑似3」「赤保留出現」「最強SPリーチ」「群予告出現」「強チャンスアップ」⇒ハズレ、みたいな展開は少なからず存在する。この場合、それぞれの演出はメイン変動のみを確認して、出す、出さないと選択するプログラムを作成した場合、どれほど激熱の予告が重なって出現しようとも、その変動がはずれを選択された上で激熱予告ばかりが選択されたという可能性が存在してしまうわけである。
演出バランスの良いぱちんこを作成する場合は、ゲーム性や液晶演出にこだわるのも大切な要素の一つであるし、振り分けバランス調整にセンスが必要なのも間違いではないが、そもそものプログラムの組み方が重要なのである。
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。