【コラム】剛腕遠隔マダム~前編~/CRAナカムラのぱちんこ閑話休題⑰

■カウンター横にホールコン
まぁ、女将の気性が荒いのは周知の事実で、事あるごとに「遠隔だー!遠隔だー!」と騒ぐので、まわりに迷惑をかけそうな時はちゃんと注意して宥めてたんですが、最終的にはいつも彼氏が「まぁまぁ」と場を収めてくれていた。この紳士はほんと神様か。

で、とうとう事件が起こる日が来るワケだが、その前に店のレイアウトを説明する必要がある。

今の店の造りでは考え難いが、当時のその店は景品カウンターの真横にホールコンがあり、薄い黒のスモークガラスを挟んでお客さんの方に向く形で座ってデータを見るというスタイル。初めての店長職だったし「へぇ~こんなスタイルもあるんだー」程度に捉えていたが、今なら有り得ないですよねww

「営業時間中に何度も何度も店長がカウンターの横のパソコンで何かしてる」ってのは遠隔操作信者にはこれ以上ない燃料投下だったようで、何回否定しようとも女将以外にもよく「早くカウンター横のパソコンで当たり出してくれ!」なんて言われたものだった。ちなみにデータのプリントアウトは長~いレシートがインクリボンでピーガギャギャギャギャーと打ち出される、化石レベルと言っても過言ではない代物で、たまにそのクソ長いレシートを打ち出して事務所に消えていく姿がまた遠隔疑惑を濃くしたらしい。冷静に考えて、遠隔するにしてもそんな客から丸見えの場所でするワケがなかろうが……。

■剛腕見参
春の日差しが心地よい日だった。いつも通りホール業務と事務所仕事を兼業でこなして、昼過ぎにカウンター横のホールコンで異常データやら割数のチェックをしていると、突然!ボクから見てホールコンモニターの前にあるスモークガラスが「ガッシャーーーン」と砕け散って目の前にバラバラと落ちてきた。

一瞬何が起こったのか理解できず「ほぉぉぉぉぉっ!?」と叫びながらイスから転がり落ちる若きイケメン店長(※現在比)。幸いクルマのフロントガラスと同じような強化ガラスだったようで、細かく散る破片でケガは無かったが、凄い音と惨状にホールは騒然とし、砕けたガラスの向こうでイスから転がり落ちた事が無かったかのように平然を装いながら立ちあがるボクと、同時に海コーナーの真ん中あたりでキィキィ叫ぶマダムに視線が集中していた。

そう、あの女将だ。

そして女将は箱から玉を掴んでこっちに投げる!さらに掴んで投げる!まだまだ掴んで投げる!それがまた凄ぇ威力で、カウンターの後ろにあったトンガリコーンの箱をパチンコ玉で貫くってどんだけいいピッチャーなんだよwwそっちの道進んだ方がよかったんじゃないの!?メジャーの伝説的剛腕ロジャー・クレメンスなみの逸材を目の前にして戦慄を覚えたが、今は感心してる場合じゃないのだけは確かである。

ヘタすりゃ死ねる…。

 

後編につづく

過去のコラムはこちら

■プロフィール
CRAナカムラ
奈良・愛知・岐阜・広島で店長職を10年歴任。その後、大阪の某チェーン店で統括営業本部長職を経て独立。常に打ち手目線を持ちつつ…と言えば聞こえはいいが、この男自身パチンコするのが三度のメシより好きという重症患者。

※本稿は過去に本誌に掲載した記事を、一部、WEBサイト用に編集した上で掲載しております。

-コラム
-