■天龍
「え?え?えぇぇぇ?」とパニクってるゴト師を事務所の手前のバイト休憩スペースに連行し、ゴト師の両脇にバイト男衆、テーブルを挟んでその対面にジャージオッサンという陣形を組み…あれ?主任どこいった?まぁいいやww
とりあえずはゴト師にとって今一番の謎であろうジャージオッサンの正体を「ハイ!ボクテンチョーデス!」と明かして、今持ってる玉1箱を放棄して一言謝ったら開放してやる旨を説明すると、「そんなの反則だ!」って知らんがなww
ここで素直に謝って帰れば良いものを、下手にゴネたのがこのゴト師にとって人生最大の過ちになろうとは思いもしなかったであろう。
そこから10分くらい、あーだこーだと言い合ってたら突然休憩所奥のドアが開く。休憩所の手前のドアはホールと繋がっており誰でも出入り可能で、奥のドアは事務所に繋がっていて役職社員以上しか出入り出来ない。
「主任?」と思ったのだが、そこにはある意味一番デンジャラスな人物の姿があった…。
■チキンウィングアームロック
ドアを開けるなり「オマエカコラァァァァアァ!」と叫ぶその人物とは、ボクの直属上司であるY部長。主任からの連絡で駆けつけたらしい。
軽くこの人物について説明すると、身長185センチ体重110キロ・趣味は筋トレ・見た目は全盛期の天龍源一郎という、今すぐにでもVシネで主役を張れるくらいの人間凶器なのである。
ゴト師硬直ww そこからはずっと部長のターンww
「くぁwせdrftgyふじこlp;@:おふぉfっ!!!」残念ながら滑舌の悪さも天龍似なので、付き合いの長いボクでさえ興奮状態の彼が何言ってるのか良く分からないのだが、たまに「のう?ナカムラ!」と言われるのが非常に迷惑である。静かに頷くしかできん。
と、ここでホールからバイトが休憩に入ってこようとして手前のドアが開いたその瞬間、ゴト師がまさに「脱兎の如く」ホールに飛び出して逃亡を図る!
しかし残念、Y部長ってば元は陸上短距離のインターハイ選手。巨漢になっても超素早いんだ。この前ホールに野良猫が出た時も猫以上のスピードで確保してたんだ。
飛び出したゴト師に続いてY部長も、スーパーマリオもびっくりのBダッシュで追いつき捕まえたのは駐車場。
逃げた事でさらにY部長はヒートアップ!ボクらが追いついた時には後ろ手に取って確保…と本人は言っているが、あれはどう見てもエグイ角度で極まったチキンウィングアームロックだったのは言うまでもない。
■FLY AWAY
「ちょちょちょ、折れる!」という外野の心配をよそに、ゴト師は完全に戦意喪失して泣き謝りモードに入り、一件落着かと思われたが…Y部長のチキンウィングが緩んだ瞬間に再度逃亡を図るゴト師。
駐車場から外に向けて決死のダッシュで国道横断を画策したが、かなり交通量のある片側2車線の国道で、特に夕方は混み合う時間帯という事もあり…信号待ちの車の隙間から飛び出した形になって、見事にノンブレーキの軽トラにスッコーーーンと跳ね飛ばされて視界から消えていくゴト師。
「あらま!」とまるで他人事のように呟き、帰りたがるY部長を引きとめるのに一苦労だったが、キチンと申告しなきゃ軽トラの運転手に悪過ぎるのでそこはちゃんとした。
間もなく警察と救急車が到着して、ゴト師は運ばれて行き一旦終了。事務所に戻ると主任が普通~っにメシ食ってたのが一番驚愕でしたね。
その夜、詳しい話を聞き来たポリスメンにチキンウィングアームロックを除く全てを話して、跳ねた軽トラの人はほぼお咎め無しになるだろうという事と、跳ねられたゴト師は右腕と腰、さらに両足骨折のけっこう重傷で命に別状は無いが後遺症は必至という事を聞いた。
だが、その折れた腕は果たして車にやられたのか、チキンウィングで既に折れてたのかは永遠の謎である。Y部長が来る前に謝って帰れば良かったのにねぇ。
今では店側もヤバイ表現が多いですが、当時はそこら辺は大らかでしたね(時効希望)。
さて、次回も「ゴト師のおもひで3」をお楽しみに!
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■プロフィール
CRAナカムラ
奈良・愛知・岐阜・広島で店長職を10年歴任。その後、大阪の某チェーン店で統括営業本部長職を経て独立。常に打ち手目線を持ちつつ…と言えば聞こえはいいが、この男自身パチンコするのが三度のメシより好きという重症患者。
※本稿は過去に本誌に掲載した記事を、一部、WEBサイト用に編集した上で掲載しております。