30年余り続いた『平成』が終わり、時代は『令和』に移り変わろうとしています。そんななか、本誌編集部では平成のパチンコホールを支えた、そして多くのファンから愛された平成の名機たちを記録として残しておくべきだと考え、「平成-名機の軌跡-」を企画いたしました。
記事は、過去から遡る形で全17回(パチンコ9回、パチスロ8回)。機種の解説とともに当時の遊技機市場の状況を振り返っていきます。
パチンコ編④では、社会的不適合機の撤去、内規改正による射幸性の抑制により、パチンコ市場が低迷期への転換を余儀なくされた平成8年~平成10年の名機を振り返ります。
CRギンギラパラダイス
『海物語』の元祖にして特大ヒットした権利モノ
ホールの主流がCRデジパチになりつつある時期、大ヒットを飛ばしたCR権利モノ。CRデジパチの多くが確変突入率1/3の2回ループに対し、本機は確変突入率1/2で1回ループと爆発力では劣っているわけだが、それでも大人気となった。
『海物語』の元祖と言える液晶演出は斬新で、老若男女に愛された。横スクロール5ライン、魚群、マリンちゃん、二段階アクションなど、すべてはこの機種から始まったのだ。今でも「1図柄&9図柄、魚群」に胸踊らせるファンが多いことだろう。
特筆すべきは、保留玉の点灯状況によってデジタル回転時間が大幅に短縮されること。保留2個以下だと約10.9秒なのだが、保留3個以上ならたったの約3.2秒で停止する。釘の甘い台なら時間あたりの回転数が飛躍的に稼げるため、積極的に打つプロも多かったのだ。
なお、現金機で3回権利の『ギンギラパラダイス』、2回権利の『ギンギラパラダイス2』などもヒットした。
CR大工の源さん
フルスペック+時短で、爆発力は歴代最高峰!
「確変突入率1/3分で2回ループ、出玉は約2,300個」がフルスペックと呼ばれていた時代、それに「確変終了後に時短100回転」を加えた超ハイスペック機『CR大工の源さん』が大ヒットした。
大当たり確率は最低設定で1/438.5とかなり低いが、確変連チャンが終わっても時短で確変を引き戻すこともあったわけで、一撃の出玉に魅了された人が多かったのである。
ちなみに、初当たりが確変だった場合、期待できる大当たり回数は最低設定でも5.24回で、普通のフルスペック機の4.75回を大きく上回る。
一方で液晶演出もよくできており、多彩なリーチアクションを搭載していた。クレーン、お祈り、コンベア低速、そして激アツのコンベア高速、大当たり確定の全回転リーチなどである。
唯一の欠点を挙げるとするなら、当たった後の再抽選演出がないこと。確変、通常と引いた後、通常図柄でリーチがかかると「ハズれろ!」と願うしかなく、それがコンベア高速に発展してしまうと絶望しかなかった。
CRモンスターハウス
秀逸なゲーム性で大ヒットしたモンスターマシン
何から何までバランスの良い大ヒットデジパチ。大当たり確率は1/367分と高めで、出玉は約2,100個、確変率1/2で1回ループだが、確変終了後には100回転の時短が付く。爆発力がなさそうにも思えるが、時短による引き戻しが23.9%もあるため意外に連チャンするのだ。
スペックだけでなく、液晶演出も秀逸。ツルツルアクションと呼ばれる連続予告は、連続するほど期待度が高くなり、しかも当たれば確変の可能性が高いという激アツアクションだった。
リーチは、オバケが画面に出るかどうか、さらにアクションを起こすかどうか、と段階的にアツくなれる仕組みで、オバケが下に出て図柄をつかむアクションが最も信頼度が高い。また、ノーマルリーチで当たる際は、地中からイキナリ「ゾンビの手」が出現してビタ止まりする。
『CR大工の源さん』とは異なり、再抽選演出があることもファンにウケた理由の一つ。確変のモンスター図柄が固まって配置されているため、どの通常図柄で当たって再抽選が始まると確変に昇格しやすいかという法則があり、これにもアツくなれた。
ナナシー
高確率で自力連チャンが望める一般電役
斬新な液晶表示と高い大当たり確率が魅力の一般電役。権利モノ『ドラドラ天国3』と並ぶ、当時の豊丸産業の代表機だ。
液晶には6つの図柄が表示され、上段3つ揃い+下段3つ揃いで大当たりとなる。最初に上段がほぼ同時に止まり、続いて下段の左→中と止まってこれが同一ならリーチ。
ノーマル、手足出現、伸縮、全回転と、アクションは4種類ある。リーチの発生率が低いために、たとえノーマルでも十分に期待できた。
激アツなのはすべてが同調して回転する全回転で、信頼度は約96%!最後に下段右がクルッと回ってハズれるのがわずか約4%しかないため、これを食らった際のショックは相当なものだった。
大当たり確率は1/158分で、他機種と比較してもかなりの高確率。大当たり中は右打ちで消化し、2,300個程度の獲得となるのだが(多少のバラツキあり)、盤面右にもスタートチャッカーがあり、消化中もデジタルが回る。首尾よく当たれば大当たりがリスタート。
単純に出玉が2倍になるわけではないが、高確率ゆえ自力連チャンが度々起こることで人気となった。
CRルパン三世K
不遇な時代にルパンの魅力で大ヒット!
ギャンブル性の高いCR機に「待った!」がかかったのが1997年。確変率は1/2で1回ループに限定され、しかも5連リミッターが義務付けられてしまったのだ。爆発力という魅力を削がれたパチンコは、低迷することになる。
そんな中で大ヒットしたのが『CRルパン三世K』だ。
もちろん、大人気アニメ「ルパン三世」とのタイアップ機。当時はタイアップというだけでも珍しいのに、誰もが知っている人気キャラクターが液晶でアクションを起こすのだから、かなり話題になった。
デジタル回転開始時に、ヘリコプターが横切ればチャンス。この時、縄ばしごに不二子がいれば期待度アップ。チラリと見えるパンツの色が白だとデフォルトで、黒だとリーチ確定&激アツになる。
次元、五右エ門、銭形、そしてルパンは各々のリーチで活躍する。また、デジタルが回転し続け約25秒後に大当たりになる百発百中リーチ、フィアット爆発などのプレミアムも用意されており、ファンの心をくすぐった。
まとめ
1990年代後半は一気にCR化が進み、そして1回交換やラッキーナンバー営業が中心だったホールが、無制限営業に舵を切り始めた時期。足元にドル箱が積み上がるのは快感でもあったのですが、無制限営業だと朝から夜10時までずっとヤメるタイミングがないため…うん、体がもたないや!
自由気ままに日が暮れるとキャバっと飲みに行けていたパチプロ稼業が、朝から晩までの強制労働になると精神的にも肉体的にも厳しくなり、これを契機にパチプロ生活を引退し、すぐさまパチンコ編集部に就職することになりましたとさ。
■プロフィール
青山シゲキ
1991年、高校卒業後にパチンコにハマり、5年間のパチプロ生活を経て某パチンコ雑誌編集者へ。編集長として数百冊のパチンコ攻略誌を世に出す傍ら、パチンコ番組や漫画の監修、情報屋、新台コンサル、パチ台専門カメラマンなどなど、パチンコ業界の何でも屋として活躍中。現在47歳。
©モンキー・パンチ/TMS・NTV