昨年から続く新型コロナウイルスの第3波による感染拡大を受け、菅義偉首相は1月7日夕、昨年4月7日以来となる二度目の緊急事態宣言を発出した。これは新型コロナウイルス対策の特別措置法に基づくもので、午後の対策本部で正式決定後、18時から首相官邸で記者会見を開き、改めて国民に協力と理解を求めた。
対象区域は東京、埼玉、千葉、神奈川の1都3県で、期間は1月8日0時~2月7日までの1ヶ月間。時短要請の対象施設は、飲食店やカラオケ店など飲食をともなう商業施設に対し、酒類の提供を午後7時まで、営業を午後8時までとするよう時短営業を要請する。ただし宅配やテイクアウトについては要請の対象外とした。
一方で今回は、前回の緊急事態宣言時と違い、小中学校の一斉休校はしない。またスポーツジムや映画館、ゲームセンターやパチンコ店などの他業種に対しては、特措法に基づく時短要請は行わず、あくまで午後8時以降の外出自粛に向け、時短営業への協力を「働きかける」方針だ。
さらに対象区域住民に対しては20時以降の不要不急の外出の自粛を呼びかけるほか、法人にはテレワークを推進し出勤する人の7割削減を目指すよう要請。またイベントの開催制限については、収容人数の50%又は5,000人の少ない方を上限とするとした。
特措法では、24条9項に基づく「休業要請・時短協力要請」は自治体の対策本部が解散しておらず、これまでも行えた。今回緊急事態宣言が発出されたことにより、対象地域の自治体では特措法45条2項に基づく「施設の使用の停止要請」や同45条3項「休業指示」も行うことができるようになる。ただし今までは45条の対象施設に飲食店は含まれていなかったため、このたび特措法施行令も改正し、対象施設に飲食店も含めた。
同45条が行われた場合、店名が公表されることはあるが、従わなくても罰則規定はない。そこで現行の「指示」の上に「命令」を設けて、罰則規定も含める方向の法改正についても、1月18日召集の通常国会で審議入りすることになっている。
菅首相は「本日、東京では新規感染者が2,400人を超え、全国的にさらに厳しい状況となっておりたいへんな危機感を持っている。中でも経路不明の感染の多くは飲食に関するものだ」と述べ、何としてでも感染拡大を食い止めるべく夜8時以降の飲食店への時短営業、酒類の提供を夜7時までとするよう要請し、企業にはテレワークの徹底、地域国民には夜8時以降の不要不急の外出を厳に控えるよう徹底いただきたい、と呼び掛けた。