コラム:ぱちんこ開発者の独り言⑯
●新基準下における日工組内規(前編)
規則改正前の遊技機仕様の保通協持ち込みは、先週の17日で滞りなく予約終了となった。例外としてキャンセルが発生し、枠が少し空くかもしれないが、基本的には翌18日からの予約は、2月1日以降の持ち込み分となるため、新基準機にて持ち込まなければならない。
遊技機規則、技術上の規格解釈基準の改正を受け、日工組の方でも自主的な「内規」(及び、申し合わせ事項)を確認し、一部改訂を行っているので、それを紹介したい。
尚、型式名について、遊技機の種類ごとに基本記号を型式名の最初に付与するなどの細かい内容も追加されているが、(ぱちんこはP、アレンジボールはR、じやん球はJ)今回は皆様が気になっているであろう「仕様」部分についての説明が中心となる。
今回、改正された日工組内規を見ると、変更部分がかなり少ない。これは、目的にある「のめり込み」対策として著しく射幸心のそそるおそれのあるぱちんこ遊技機の開発・製造・販売を行うことがないよう、仕様内容を規定する、とあるのだが、規則改正前から日工組における一定の自主規制が機能していた(もしくは、機能していると認識している)ことを意味すると私は思う。そのため、今回の日工組内規における改正におけるポイントは「遊技機規則」に合わせる。といった側面を持つということを一番初めに理解しなければならない。
それを踏まえた上で、日工組内規の仕様部分において、改正された部分は下記の3つの個所を確認していきたい。
●小当りRUSHにおける「小当り出玉(期待値)<1,500個」
⇒2,400個から1,500個へ引き下げ
●継続率65%を超えるリミッター機において「総獲得遊技球数の期待最大値≦6,000個」
⇒7,200個から6,000個へ引き下げ
●一般電役「総獲得遊技球数の期待最大値≦4,500個」
⇒4,800個から4,500個へ引き下げ
こちらの内容は昨年末に決定されたため、一部には既に周知ではあると思う。そこで多くの方々が勘違いしている点を下記で説明したい。
まず、小当りRUSHの期待値が下がったことにより、小当りRUSHの出玉感が大幅に下がると思っている方が大半であると思われるが、それは認識が少し違う。
この内容は突入を契機とし、大当り等で小当りRUSHが終了するまでに獲得できる期待出玉が1,500個未満でならないといけないという点である。ここで前述の「遊技規則に合わせる」という文言である。今回の規則改正では、1回の大当りにおける出玉は、「15個賞球×10カウント×10ラウンド」の1,500個が上限と定められている。大当りを契機とし、獲得できる1回の最大値が1,500個なわけである。そのため、小当りRUSHも、その数字に合わせましょう、というのが今回の主旨である。
規則改正前 ■大当り(最大2,400個)+小当りRUSH(獲得最大期待値2,400個)
規則改正後 ■大当り(最大1,500個)+小当りRUSH(獲得最大期待値1,500個)
しかしながら、小当りRUSHにおける総獲得遊技球数の期待値は、改正前、改正後も「初回大当り分を除いて6,400個未満」とトータル出玉期待度には変化がない。
すなわち、大当り出玉の最大値に、小当りRUSHの1回における(期待)最大値を合わせただけのことなのである。そのため、我々開発者としては、1回で2,400個を出すことは不可能になったが、その分、今までよりも多くの割合を小当りRUSHに割くことが可能となったわけである。最終的に手に入る期待値は規則前と変わりないため、もしかしたら、こちらの方(小当りRUSHの突入率、継続率が高まった)がうれしいユーザーは少なくないかもしれない。
一般電役も、今までの最大値が2,400個×2で4,800個と規定されていたものが、1,500個×3で4,500個と、規則内容に合わせて総獲得遊技球数を少し調整しただけに過ぎない。そのため、今回の内規改訂では、リミッター機(65%以上の継続率)の期待値が引き下がっただけで、その他は、遊技規則に沿わせたというものであると考えられる。
次回コラムでは、実際にどのようなスペックになるのか。を市場にリリースされた遊技機及びスペックを調整して、皆様にお伝えしたいと思う。
■プロフィール
荒井 孝太
株式会社チャンスメイト 代表取締役
パチンコメーカー営業、開発を歴任後、遊技機開発会社チャンスメイト(http://chancemate.jp/)を設立。
パチンコ業界をより良く、もっと面白くするために、開発だけではなくホール向け勉強会や講演会など多数開催。