荒籾:1円のシェアは伸びて行くと思われますが4円のシェアはさらに減少していくと思われます。月に6回から8回来ていただきたいと考えますと、おそらく、可処分所得でパチンコ、スロットに使える金額は3万円くらいなのかなと勝手に思っております。この客をメインのターゲットとして考えるならば、4円の機械と同時に開発するのは無理なのかもしれませんが、1円の機械で価格を半分以下に下げて頂く方が活性化すると考えております。
ですので、自社の商圏が14店舗から7店舗に来年なるのであれば全然4円でいけると思うのですが、14店舗のままで設置台数も変わらないような状況で考えていきますと、マーケットによって4円主流、もちろん4円客にも機械で対応していかないといけないんですが、1円という機械を開発する余地はないのか、最後にお聞きしたい。
藤田:1円専門機というか低貸専門機を、価格をぐっと下げてという話ですよね。可能性としてはどうでしょうか?
渡辺:正直言ってないと思います。本当にそういうのができればいいんでしょうが、1円専用機は1円専用になっちゃうわけですね。1円はこんな機械しかできないのかなとなるとそれはどうかなと思います。射幸性じゃなくてゲームセンター用みたいに作るという事になってくるので、どんな機械になるのかなと考えた時に相当面白いのを作らなきゃいけないと思いますので、不可能かなと思っています。
藤田:山口さん。
山口:1円専用機を一度考えてみてくれ、と言われたことがあったんですが、どれだけ考えても1円用、4円用というカテゴリーの違いが出てこないんですよね。逆に言うと5円だったらどうなるかというのも、機械でなにか違うものがあるのかと考えた時に、そこも出てこないとすると、そこは難しいかなと思います。
藤田:荒籾さん、残念ながら難しいと。今日はお二人のご意見だけなので他のメーカーで「うちは作るよ」というところがあるかもしれませんが、今日の段階では難しそうだという話。それでは大石さん、業界として取り組んでいった方がいい事について、お願いします。
大石:今の議論ですが、ベースが上がって、いわゆる交換率が下がって、機械そのものの射幸性が低くなって来れば(低玉貸しから)4円に移るニーズは出て来ると思います。ただ、これだけ低玉貸しが普及していると、これは無視できないので一定のニーズはありますので残っていくと思います。そうなると、今は無理とおっしゃいましたが、チャレンジはしていただきたいと思います。今、お客さんにとって価格というのは貸玉なんです。ここのニーズを、お客さんにとって分かりやすいですし、残りますので、このニーズを使った新しいフォーマットじゃないですが、売り方が出てもいいのかなと感じます。また、そういうチャレンジをしていって頂きたいと思います。
藤田:業界全体として今後どういう取組みをしていったらいいでしょうか。
大石:取り組みですか。むずかしいですね。
藤田:非常に大きな話なので。ピンポイントでここだけは、というのでもかまいませんので。
大石:ファン層の拡大について将来、10年、20年、という期間で考える必要があると思います。今、新卒の子とかたくさん入っていますよね。この子たちに何を残せるか。誰々さんがどうとか、色々言っていないで、とにかく全員一丸となってやりたいです。向かっていく方向は同じですから、誰もが行き詰っている事は認識していますから、それに対して妥協するところは妥協しながら、とにかく一丸となってやりたいなと、それだけです。
藤田:山口さん、お願いします。
山口:ファンをもう一度取り戻していきたい。お客さんが必ず勝てる機械は作れないんですが、勝てそうだと思える機械、そして打って楽しかったなと思っていただけるような機械、それから業界の環境づくりに取り組んでいきたいなと思っています。
藤田:それでは渡辺さん。
渡辺:先ほどゼロタイガーの話があったんですが、8ラウンドフル継続しても何百発しか出ないというものが、10個入って継続するような2種になり、パンクとか出玉の変化、TYが一定じゃないと嫌われた時代があったんですが、そこら辺に戻さないといけないし、勝っても3万円くらいに戻さないといけない。こういうお客を増やさなきゃいけない時に、初めてこの業界が世間と向き合う時期にきたんですね。今までも、連荘がどうとか、釘がどうのとかありました。でもあれは(業界の状況が)いい時で、自主撤去という形を取った。今、カジノが新聞にも取り沙汰される状況のなか、(日工組として)色々な団体さんとも、撤去や今後の機械について話しました。対処をしっかり業界としてやらなければいけない。今は(パチンコに限らず)否定の評価の方が人気で、結婚よりも離婚の記事の方が売れます。こういう世界の中でのパチンコ業界になっちゃったので、そこへの理解を求める事に関して、PCSAさんに、お願いする事もあるので、よろしくお願いします。
藤田:ありがとうございます。今回、こういう撤去リストが出たというのは、業界内だけじゃなく、業界外、社会一般にも知られている事実です。それを放置した状態で、みなし機状態でずっと使い続けるような業界だと、社会から叩かれるリスクが非常にある時期かなと思います。ぜひとも業界を挙げて早めに対処しなくてはいけないものは、皆できっちり対処するのが非常な重要な時期かなと思われます。
<会場に対して意見、質問応答>
藤田:ここで、皆様の中からご意見、質問等がありましたら頂きたいと思います。どなたか、ご意見あるいはご質問がある方。
佐藤チェーンストア経営分野アドバイザー:質問というよりですね、40年以上もこの業界に身を置いてきたので、お客さんの立場で今の機械は全部同じような機械で魅力がない。そしてなぜお客が離れていったかというと、複雑になっている、遊び方がわからない、それからお金がかかる。お客さんの立場で考えると沢山あるんですね。店によって交換率も違うということも不信感につながっていると思う。
それで、今、目の前の機械の交換という問題はあるんですが、冷静に考えてみると今の機械の規則というのは入り口部分、要するにくぎの問題とかチャッカーの問題とか役物の問題とか、すべて見えるところ、入り口の部分を規制しているわけですね。初めてベースの問題が出てきたという事は、30%くらい少なくとも戻さなければいけない。ということは、ようやく議論がアウトの問題に入ってきたんですね。
要するにアウトの問題というのは、1時間6,000発、1分間100発ですから1時間6,000発打って、ざっくり30%お客に戻してという方法、これを逆に言えば、ベースが明確になることによって100分の1、200分の1、320分の1、大当たりが来なくてもベースが明確になれば最悪の場合いくらかかるか計算が出来ちゃうんです。
ですから、これからファンを増やそうとすれば、賞品の魅力を一杯、100分の1は1時間に2,000円以内でアンラッキーでもいけますよと、これは5,000円かかります、これは10,000円かかります。おそらく320のマキシムだとベースが30だと1万5千円くらいでしょうかね。それを各機械に謳ってしまう。機械ごとに。
そしてその事をホールのくぎの技術も担保する。要するにそんなものはオンラインで1台ごと、1時間ごとに計数します。今のコンピューターのシステムをオンラインで整備するのは決して難しくはない。これを業界こぞってやることによって全く新しい世界に入る可能性もあります。要するにアウトの方さえ、要するに射幸性というのは最終的にはアウトだなと、1時間当たりの金額どれだけ使うか。マキシマムのお客もいれば3,000円のお客もいるんです。その選択肢を縮めちゃいけないです。幅広く、そしてアウトをきちっと担保することによって、機械づくりの構造、部品、これを新しい技術を投入して、色々なゲームが全く想像もしなかったゲームも登場していいです。
要するに射幸性の最大の部分は、時間当たりの消費金額だと明確になっているわけです。ベース30は最後の砦になったわけです。後はこの事をやるためには規則改正を抜本的にやらなければいけないので、これは日工組さんだけではできないです。
全ホールが一緒になって、未来のこの業界を、どうファンを増やし、この業界が社会とどう向き合うのかを明確にしていきながら業界の繁栄を作っていくというのは、ホールもメーカーも今こそ抜本的なところから、今一度腹を割って話し合いながら、どうなるか、換金の問題でもいいんですよ、全国一律、等価じゃなくて10%だけは取りなさいとか、そういう事で機械も作りやすくなるし、とにかく今は大石さんが言っていたように、団結して目の前の困難を抜けきらないと、また、話を聞いて来ると320分の1でベースを30確保して、それでマキシマムをどう作ろうか、という話になってしまうと、今までと同じ延長上になってしまいますね。
ですから、抜本的にあらゆる技術の、面白い機械は自由に作りなさい、ただし、アウトは担保しなさいと。これは当然ホールにも責任がかかってきます。くぎの中でベースを確保するという事ですから。それぐらいの大改革を今、業界全体でやらなければいけない時期である。また、チャンスでもあるんじゃないかという気がするんですね。
そのことによって、先ほど荒籾さんが言ったカテゴリー、この店は1円だけのお客さんを対象にしていますよとか、それにはあらゆる種類の機械が出てこないとできないんです。要するにこの業界は機械が最大の商品です。魅力のある商品がなければお店は開けられないんです。
ですからその魅力ある機械をどう大量に出していく仕組みをどのように作るかというところに、ホールもメーカーも知恵を絞るべきだと思います。商品無くしてこの業界は全くもたないです。存在しえないという事。だから商品だけは一緒になって、素晴らしい商品を世に出すという事を一緒になって努力しなければいけないなと思います。
藤田:ありがとうございます。今、佐藤さんが言われたことは、ちょうど渡辺さんとこの会が始まる前に話していたことと似通っていますが、渡辺さんどうでしょう?
渡辺:おっしゃられた通りで、要望の骨子として遊技球が通るとか言いましたが、全体の業界のあるべき姿を作った時に骨子が出来るので、おっしゃる通り射幸性については1分間に400円しか規則にはないので、そのうちの何かを担保にするという事ですので、等価につなげて、何かにつなげて参考にさせていただくし、今後ご相談もさせていただく事もあるので、日工組としてはくぎの問題でベースという事を言われましたので、日工組からも出しやすい物ですので、ひとつの骨子として追加していこうと思っていますので、了解しました。
藤田:ありがとうございました。他にどなたかおられますか?
佐藤副代表理事:すでに渡辺さん、山口さんが言われた短時間、2時間くらいで遊べる遊技機をぜひ進めていただきたい。遊べるだけじゃしょうがないので遊んで楽しい機械を。
やはりホールというのはご承知のように、稼働、稼働。稼働というのは客数を増やすのと、一人の人に長く遊んでもらうという事ですよね。特に今まで、ホールもそうですけど、メーカーの機械開発もできるだけ長く遊んでいただくというのが強かったと思うんですね。
でも今、ライフスタイルにどんどん色々な選択肢がある中で、ひとつの事を長時間、5時間も4時間もやっている人はどんどん減っていっているし、今後減ると思うんですね。
パチンコだけを5時間6時間やるという人はだいぶ減って、時には習い事、時にはスポーツジムに行って、その合間にちょこっと。これはご承知のようにパチンコの夕方の客数が圧倒的に減っちゃう、いないというのはそこで遊んでいないという所ですよね。そういう理由と射幸性はパチンコの場合、機械の射幸性×遊技時間だとおもうんですよね。遊技時間が長くなれば長くなるほどお金を使うわけですから、ある程度射幸性は高くなります。
それが短時間で済めば、ある意味射幸性が落ちると思うんですよね。理屈から言って。そういう意味でも短時間、2時間くらいが適当かと思いますが、そこで遊んで楽しいという事も出来ると思うんですね。
ホールサイドも短時間で遊べる人なら、粗利率を下げても理屈から考えてもやっていけるんですね。分かりやすく言うと短時間なら負けてもいいなと、という人が増えて来るので。繰り返しですがぜひ進めてください。
藤田:言われたように、どうしても高粗利率になってしまっているのをいかに下げていくかという意味でも短時間遊技が増えて来るというのも結構大事なことだと思います。それでは、ちょうど時間となりましたので今日のパネルディスカッションをこれで終わりとさせていただきます。どうもありがとうございました。