山口:基本的に、技術的にはなんら問題ありません。法律とか技術上の規則が改正されればという事になりますが、今、色々な規制がある中で、出玉性能に走らない形をお願いしていくというか、やっていくしかないかなと思っています。
藤田:いま言われた部分で言いますと、これはメーカー側と行政側だけの問題なんでしょうか?それともホール側がもう少し努力すれば。
渡辺:メーカー側の問題。凝れば凝るほど複雑化するんで、ある程度、基本は単純化されたものがメインになってくると思います。ゲームというのは基本的にそこにあると思いますので。山口さんが言われたように面白いものが出て来るというのはターゲットが少し若い人になる。基本的に単純なゲームでしっかり面白いものを作っていかないと広まりは遅くなると思います。
藤田:今は複雑になりすぎていると?
渡辺:多分、とっつきづらいだろうと思っています。とっつき辛いし、そこまで入ってしまえば面白いですが、そうなると娯楽じゃなくて趣味の世界に入っちゃいます。趣味ということになるとお金はいくらかけてもかまわないんだろうなと。先ほど山口さんが言いましたように色々なものがあればいいし、ちょっと単純なものもやっていかなきゃいけないと。
藤田:大石さんから色々なバラエティの台があったとありましたが。現状でもそこそこ色々なタイプの台があるのかなというように思えるんですが、これじゃ足りないんですか?
大石:足りないですね。結局は確率の問題だけなので。それからギミックとかありますがその違いだけですから、遊技をしている人にとっては同じです。種類的には同じだと思います。基本的には全部確率の問題で遊んでいるだけですから。確率以外のものがいいのか分かりませんが、基本的には同じですよ。入って、抽選をして当たるか当たらないかだけのゲームなので、1種である限り同じだと思います。
藤田:1種以外の機械。
大石:1種、2種、3種、4種という分け方がいいのかわかりませんが、同じものしかないという事だと思います。お客さんの立場では。
藤田:荒籾さんも、もう一歩突っ込んでありますか?
荒籾:大阪の住之江区内で2店舗と5キロ商圏で14店舗の数字を持ってきましたので紹介させていただきます。14店舗で3年間の1月のマーケットの数字なんですが、26年、27年、28年。対照的なので4円と1円について話をさせていただきたいと思います。
26年の4円の14店舗のマーケットの設置台数が3,570台。27年が3,216台、前年比90%。今年の28年の1月が2,988台で前年比92%。同様に1円が26年1月の設置台数が2,061台、27年1月が2,225台、28年(今年)の設置台数が2,429台と1円の方は逆に台数が増えております。
これに対して、このマーケットの4円と1円の客数ですが、このお客様の数は11時と15時と19時の3回の客数の平均を取っています。26年の4円が1,301名、27年は1,022名、前年比78%、今年が825名。ですので、わずか2年の間に、同じ1月の統計で500名近くのお客様が4円は減っている。逆に1円も26年1月1,090名、27年1,026名、今年は1,000人を切りまして993名という事で、数字が物語っているのかなと感じております。
やはりお客様の数というのがお店にとって大きなバロメーター、財産だと考えています。この4円の、台数も減っていますが、お客様の数が減っているところに、先ほど渡辺さんが言われたように、特にマックス、10人中9人が負けて1人だけ勝っているという状況が大きなウエイトを占めているのかなと。逆に1円も微減しているというのは、1円も少し厳しくなっているのかなと考えざるを得ませんが、逆にまだまだ可能性はあるのかなと考えています。
藤田:今言われた客数がずっと落ちてしまっているなか、マックス機がどんどん外れていく中で、収益構造が変化していくかなと思いますが、それに対しての対応、すぐに対応が出ないとしてもこういうような課題があるという辺りを大石さん、お持ちのものを言っていただけますか。
大石:収益構造というというか、売上が上がらなくなりますので、同じ粗利益率でやったとしてもネットレベルでの粗利益高は下がりますので、その中で近々に言うと入れ替えコストも若干かかるでしょうから、粗利に対してのコスト分配率を同じでやっていると収益は出なくなりますので、なんらかを下げていく必要があると思います。
これはホールだけの努力だけじゃなくて、色々な業者さんの協力も必要です。あとは人の生産性を上げていかないといけない。これは人を減らすという意味ではないんですが、作業の効率とか生産性を上げていく努力をしていかないと同じ額は取れない。絶対額は下がります。ただ、それを1回やってしまえば、そこからスタートですから。どういう風に企業の体制を変えていけるかというのが、我々の大きな課題ですし、規模で言うわけではありませんが、どこのホールも同じ課題だと思います。やっぱり効率化をしていかないと、売上が上がらない機械が増えていきますので、共通の課題だと思います。絶対額は下がります。おそらく。
藤田:稼働率ですが、昔はパチンコだと1台当たり3万とか3万5千の稼働があったのが、今は2万を切るぐらいにきているかと思いますが、市場自体をもう少しシュリンクさせた方がいいでしょうか?
大石:シュリンクしていいとは誰も思っていないはずで、ただ、この新しい基準の機械は射幸性が落ちてきますので、いわゆる換金率の問題もあると思うのですが、確かに暗い話題ばっかりですが、明るくどうするかって考えるしかないんで。機械も1年ではこなれてこないと思います。3年、4年、5年をかけてこなれていく。ホールも協力しなきゃいけないでしょうし、メーカーさんの努力も必要でしょうし、明るくしていくしかない。ただ、遊び率が増えてきますから、垣根は低くなりますのでファン層が拡大する可能性は秘めていると思います。そういう風に考えていきたいなと思います。
藤田:そうですね。ファン層をぜひとも拡大していきたいチャンスだと思います。その中で大きな課題になっているのが、遊技機の価格そのものの高さがあります。結果的に遊技機の価格が高いために、昔だと新台を入れた後にしばらくは出るなという期待感があってプレイヤーは行っていたと思いますが、今、現実的には早めに回収しないといけないという事で、新台でもほとんど出ないというような事が起こっていると思います。
遊技機の価格は何をもって適正かというのは、いい遊技機で何年も使えるんだったら別に高くてもいいよというのはホールさんの意見でもあると思うんですが、全般的に高くなり過ぎています。その中で山口さん、価格をどうやったら、一方的に下げるだけじゃなくて、長く使える意味を含めて、こんな事があったらいいんじゃないか、あるいはホールの方にもこういう風に使ってほしいというのがあれば一言お願いします。
山口:色々努力はしております。液晶をリユースしたり、電子部品関係を共有したり。そういった中で、大勢のお客様に支持され、稼働が上がっていくような機械を作るのが我々の使命。その中で費用対効果が合うものにしていかなければいけません。その後、ECOパチじゃありませんが、入替について、なるべくホールさんに負担がかからない手法だとか、改めてやっていく必要があると思います。
藤田:ありがとうございます。引き続き、事前に頂いた質問の中で、新基準機の出率はどのくらいでしょうか、というのがあったと思うんですが、この辺り、出率も含めて、直近の機械はどの様な特徴があるんでしょうか?
渡辺:メーカーさんの設計値で出率は変わらない。例えば320分の1、55%の連荘率、スタート5.8、ベース33で出率が何%になる。出玉とのからみもありますが、出率設計値は多分変わらないと思います。
変わる部分は、出玉の格差が無くなってくること。これをつまらないと思うかどうかわかりませんが、連荘が下がってくることによって、先ほどから言っているように出玉率の設計値が出現する可能性が高くなると思っています。
要は暴れが小さくなるのは間違いないと思います。設計値はメーカーさんにもよりますが、台数が大きいものに関しては少し高めの設計になると思いますが、基準として今の時代と等価交換を元に設計値を作っていますからそこは前とは変わらない。ただ、振れ幅、もしくは出率の計算に使う数値というのが、ベースが上がったりスタートによってちょっと変わってくるだろうなと思っています。
藤田:交換率で言うと25個交換を前提の設計?
渡辺:そうなります。要はスタートを増やせばわかりますが、スタートを増やすという事になると変動ベースとか色々な事を考えなくちゃいけないんですが、設計自体は変わらない。ベースが上がったからと言って設計値が下がるわけではない。
藤田:先ほど言われたように、暴れといいますか、より平均値に近いところでの出現率が高くなるのでしょうか?
渡辺:それは機械によりけりです。ただ、メーカーさんなりホールさんが多種多様と言っているだけで、お客さんから見たら同じ機械です。
今度出てくる機械も1対9の勝ちのものあれば、4:4:2ぐらいのものも出てくればいい。でも、顔とかを変えないと、年配の方でも気付けるものにならない。同じ1種でも図柄に頼るものだったら頼る。宝くじのように7が1個だったら2ラウンド、2個だったら5ラウンド、3個揃ったら確変6ラウンドとか、という風にしていかなくちゃいけない。
藤田:実際に台を作っている山口さんの立場から言うと、タイプによって顔を変えるのはできるんでしょうか?よく分かっている人はその違いを見た上で遊技されるんでしょうが、実はあまり分かっていないファンは数多くおられるので、甘デジはこんな顔とか、これは全メーカー共通で作れるか別ですが。