遊技くぎに関する不正改造に対する業界の自浄作用を促すため、平成27年6月から一般社団法人遊技産業健全化推進機構において遊技機性能調査を実施していることについてはご承知のとおりであります。
同年8月までの調査結果によれば、全国161店舗258台の遊技機について、約6割が一般入賞口に全く入らず、残りの約4割についても、10分間に10個も入らないとのことであり、検定機と同性能のぱちんこ遊技機が1台も発見されない事実からすると、メーカー出荷時に既に性能が異なっている可能性も払拭できないことから、日工組に対し、その可能性に関する調査を依頼させていただきました。
その後の日工組からの報告としては、メーカーがホールに出荷する時点において、既に検定機と異なっている性能となっている可能性があるとのことであり、それを踏まえ、該当する型式に係る遊技機について、業界を挙げた回収を今後進めていくとのことでありました。それを受け、当庁から、該当する型式に係る遊技機に関する撤去の要請をホール関係5団体に対し通知をさせていただいたのはご承知のとおりであります
が、ここで、改めて、一般入賞口に玉が入らないように改造したデジパチの極端な性能変更についてお話をしておきたいと思います。
一般財団法人保安通信協会の試験に合格し、検定を取得したデジパチについて、本年6月に日遊協に対し行われた行政講話において、一般入賞口に入る玉数が10分間に数十個がコンスタントに入る性能となっていると述べておりますが、仮に10分間に平均50個の玉が入る性能の遊技機であれば、1時間に300個の玉が入り、6月までのデジパチは通常、入賞1個に対し10個賞球ですから、3,000個が遊技客に払い出される性能と言えます。
3,000個は、4円ぱちんこでは12,000円分となります。つまり、1時間で12,000円分の玉が一般入賞口の入賞により本来遊技客に払い出されるべきところ、払い出されていない、これが、一般入賞口を締めた時に起こる性能の変更であります。このような極端な性能変更が、くぎ曲げが問題視される背景にあるということは、業界として共通認識を持っているべきだと思います。
また、別の観点からみると、風営適正化法上、遊技客が遊技で得られる玉は、大当たり等役物によるものだけでは駄目だとされており、それ以外の入賞の仕方として、一般入賞口による玉の入賞がありますが、この入賞口を殺すことは、すなわち、デジタル抽選が行われる始動口のみに入賞を偏らせるということであり、偶然性に過度に偏った抽選機となってしまっている、これも、極端な性能変更を示す一面であるかと思います。
このような極端な性能変更が問題視されるからこそ、くぎ曲げの是正を強くお願いしているところでありますが、だからと言って、極端な性能変更でなければ変更をしても構わない、と曲解することは、遵法精神に基づかない考え方であり、社会的に認められるものではありませんし、我々行政としても、求めているものではありません。