余暇進は11月9日に開催された秋季セミナーにおける警察庁生活安全局保安課 池田雄一課長補佐の行政講話の内容を公表した。
池田課長補佐はこのなかで、ぱちんこ営業の健全化を推進する上で特に必要であると考えていることとして、「旧規則機の撤去」「ぱちんこへの依存防止対策」「遊技機の不正改造事犯等の絶無」「遊技機の流通における業務の健全化」「ぱちんこ営業の賞品に関する問題」「広告・宣伝等の健全化の徹底」を挙げ、見解を述べた。
以下、警察庁生活安全局保安課 池田雄一課長補佐の講話全文を掲載する。
–講話全文–
一般社団法人余暇環境整備推進協議会令和3年度秋季セミナーにおける課長補佐講話
皆様方には、平素から警察行政の各般にわたり深い御理解と御協力を賜っているところであり、この場をお借りして御礼申し上げます。
本日の一般社団法人余暇環境整備推進協議会の令和3年度秋季セミナーにつきましては、新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえオンラインでの開催となりましたことから、昨年と同様、書面にてご挨拶を申し上げることとなりました。引き続きよろしくお願いします。
本年に入ってからも、新型コロナウイルス感染症の影響で多くの期間が緊急事態宣言の対象となるなど、ぱちんこ業界の皆様方におかれましても、厳しい状況が続いているものと思います。そのような中においても、ぱちんこ店からはクラスターを発生させないという思いの下、業界で策定したガイドラインに沿って、あるいはそれ以上の工夫をして、対策を講じられ、適切な情報発信等にも努めていると承知しており、皆様方の努力に改めて敬意を表する次第です。ガイドラインは新たな知見等を踏まえ、随時改定されていますので、最新のものに沿った対策を講じていただき、政府や各都道府県からの最新の情報、要請や働きかけの内容等を十分に踏まえつつ、引き続き、感染防止対策を徹底していただきたいと思います。また、製造業者、販売業者等の皆様方におかれましても、それぞれの業務に応じた対策を継続されているところと思います。引き続き、感染症防止対策に万全を期していただき、この危機を乗り切っていただくことを願っています。
さて、本日は、せっかくの機会ですので、ぱちんこ営業の健全化を推進する上で特に必要であると考えていることについて、何点かお話をさせていただきます。
まず、旧規則機の撤去についてお話しします。
ご存じのとおり、昨年5月20日に国家公安委員会規則を改正し、旧規則機の撤去に係る経過措置期間を1年延長しました。この改正の趣旨については、これまでも累次申し上げていますが、業界団体の要望を受け、新型コロナウイルスの影響を踏まえつつも、射幸性の抑制という命題を後退させないことを前提に、旧規則機の撤去を計画的に分散化して行うため改正を行ったものです。したがいまして、撤去時期がそのまま1年後ろ倒しになり、結局、経過措置期間満了間近になって撤去が集中してしまうという事態は絶対に避ける必要があるということも、繰り返し申し上げてきたとおりです。こうしたことを受け、パチンコ・パチスロ産業21世紀会において決議が行われ、遊技機の計画的な撤去が推進されています。新型コロナウイルス感染症の感染状況等を踏まえ、本年5月に一部改正が行われましたが、月ごとに新規則機の設置比率を定めて撤去を推進しているところと承知しています。残りの期間はわずかとなってきましたが、引き続き、業界をあげて旧規則機が計画的に、着実に、そして当然のことながら、期限内に確実に撤去されるようお願いします。
なお、ご承知のとおり、経過措置期間を過ぎた旧規則機は、取締りの対象となります。既に複数の地域で所要の処分等がなされています。今後ともこうした事案には、法令に基づいて適切に対応していく所存です。
また、経過措置期間内の旧規則機であっても、設置が相当長期になっているところ、経年劣化による故障等により、法令上の基準に適合しなくなり、その状態で設置し続けていれば、法令違反となります。一方、正規に部品調達ができない等として、承認申請等の手続を経ることなく部品交換を行えば、無承認変更等として法令違反となります。こうした違反を起こさないよう、くれぐれもご注意ください。
また、旧規則機の撤去に伴い懸念されるのが、遊技機の廃棄問題です。現状においてもホールの倉庫等に今後設置することのない遊技機が大量に保管されているという話が継続的に聞こえるところ、全日本遊技事業協同組合連合会が実施した遊技機の保管状況調査結果では、本年5月末時点で、検定・認定切れの遊技機が約41万台保管されているなどの状態であったと承知しています。倉庫に保管したままの旧規則機については、早い段階から計画的に廃棄を進めるとともに、今後排出予定の遊技機の台数や保管スペース等を適切に把握しながら、遊技機のリサイクルシステムが機能不全に陥らないようにしていくことが大事であり、過去のように、遊技機の野積みといった形で問題を繰り返さないことが求められます。九州においては、関係団体と調整した上で、計画的な廃棄処理に向け動いているところもあり、また、メーカー団体等も、適切な廃棄に向け回収を呼び掛けるなどしていると承知しています。引き続き、計画的な旧規則機の撤去で入替を分散していただくことはもちろん、旧規則機の適正かつ計画的な廃棄処理についても遺漏のないようお願いします。
なお、新規則機については、遊技機メーカーにおいて開発努力が続けられています。当庁においても、射幸性を上げることにつながるものではなく、魅力ある遊技機作りが可能となるよう、多彩な演出やゲーム性を高める内容の要望については、前向きに対応しており、本年6月以降も様々な要望を容認し、現在も日工組、日電協において様々な努力が行われているということについて、この場で触れておきます。