最後に、ぱちんこ産業の現状についてお話しします。
公益財団法人日本生産性本部の「レジャー白書2016」によれば、平成27年中の市場規模は23兆2千億円、ぱちんこ遊技への参加人口は1,070万人となりました。前年と比較して、市場規模に関しては1兆3千億円、5.2%の減少、参加人口に関しては80万人、7.0%の減少となっています。一方、年間の平均遊技回数は32.4回で、前年から9.6回の増加、年間の平均費用は9万9,800円で、1万4,600円の増加となっています。参加人口の縮小幅と比較して市場規模の縮小幅が小さいこと、年間の平均遊技回数や平均費用が大きく増加していること等から、いわゆるヘビーユーザーヘの依存度が大きく増加しているものと推察されるところです。
業界の皆様にあっては、ヘビーユーザーに偏った、いわば射幸性頼みの営業が、果たして、ぱちんこ遊技にのめり込んでいる方を家族に持つ方々を始めとして、多くの国民の理解が得られるものかどうか、改めて考えていただきたいと思います。「客が射幸性の高い遊技を求めるのだから仕方がない。」という言い訳は、これだけぱちんこ遊技へののめり込みを問題視する声が大きくなった現状においては、もはや通用するものではありません。
ぱちんこ営業が「射幸心をそそるおそれのある営業」である限り、射幸性の適度な抑制は、健全な営業であるための不可欠な条件でありますが、今の営業実態と大衆娯楽としてのぱちんこ遊技に対する国民感覚とは大きく乖離しているのではないかと危惧しております。
こうした状況にある中、ここまで述べてきた
・検定機と性能が異なる可能性のある遊技機の撤去
・遊技機の流通における業務の健全化
・射幸性の抑制に向けた取組の推進
・いわゆるのめり込み問題を抱えている方への対策
について確実に取り組むことは、国民感覚との乖離を埋める契機になり得るのではないかと考えられます。しかし、いまだにこれらの取組に消極的な関係者が一部にいることについては、極めて残念なことと言わざるを得ません。今一度、ぱちんこ業界が置かれている状況について思いを至らせ、お一人お一人が能動的にこうした問題に前向きに取り組むことが、ぱちんこ業界のためになることを認識していただきたいと思います。
貴団体を含め、ぱちんこ業界団体の今後の取組に期待し、私の話を終わります。御静聴ありがとうございました。
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