余暇進の秋季セミナーで警察庁の池田課長補佐が講話

次に、旧規則機の撤去についてお話しします。

既にご存じのとおり、本年5月20日に国家公安委員会規則を改正し、旧規則機の撤去に係る経過措置期間を1年延長しました。これは、新型コロナウイルス感染症の影響により、メーカーにおいて海外からの部材調達が不安定化するなどにより、新規則機への入替が困難となっていること、また、このままの期限で遊技機の入替を求めた場合、短期間に大量の遊技機の入替を行うことにより、入替作業等に伴う感染リスクを増大させるおそれもあることから、遊技機の入替時期を分散化させる必要があるとの判断の下、行ったものです。したがいまして、撤去時期がそのまま1年後ろ倒しになり、結局、経過措置期間満了間近になって撤去が集中してしまうという事態は絶対に避ける必要があります。また、経過措置期間の延長により、射幸性の抑制という命題が後退したと社会一般の視点から受け取られてもいけません。

こうしたことを受け、パチンコ・パチスロ産業21世紀会において決議が行われ、具体的な数値目標を示して遊技機の計画的な撤去を行うほか、「特に高い射幸性を有すると区分した回胴式遊技機」についてはこれまで通りの満了日までに撤去することとされており、これら決議に基づく取組の実効性を担保するため、ぱちんこ営業者、遊技機製造業者、販売会社等の各団体が一致団結して様々な取組を行っているところと承知しています。引き続き、業界をあげて旧規則機が計画的に、着実に撤去されるようお願いします。

また、旧規則機の撤去に伴い懸念されるのが、遊技機の廃棄問題です。現状においてもホールの倉庫等に今後設置することのない遊技機が大量に保管されているという話が継続的に聞こえるところ、過去のように、遊技機の野積みといった形で問題を繰り返さないことが求められます。一部地域においては、関係団体と調整した上で、計画的な廃棄処理に向け動いているところもあり、過去の反省が活かされた取組であると評価しています。計画的な旧規則機の撤去で入替を分散していただくことはもちろん、旧規則機の適正かつ計画的な廃棄処理についても遺漏のないようお願いします。

次に、遊技機の不正改造事犯等の絶無についてお話しします。

誠に残念なことですが、ぱちんこ営業所において遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、いまだに継続して発生しており、本年も複数の検挙事例の報告を受けているところです。これまでにも、そのような事案は射幸性の適正管理を侵害する悪質な不正改造事案であると繰り返し申し上げていますが、依然として、客寄せ等の営業者の都合により、くぎを曲げる事案が後を絶ちません。くぎ曲げについては、引き続き厳しく取締り等を行っていきますが、貴協議会におかれましては、引き続き正しい認識を全国の会員に理解していただくよう周知徹底を図ることはもとより、業界全体をリードして、こうした問題の絶無に向けて取り組まれることを期待しています。

このほか、悪質巧妙化している不正改造については、これに対処するため、ぱちんこ営業者、製造業者という垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で模索し、効果的な施策をより一層推進していただきたいと思います。また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の活動については、業界の健全化に欠かせないものとして、その役割の大きさを皆様も実感していることと思います。推進機構は、活動開始以来、立入検査店舗数が昨年度末までに32,000店舗を超え、また、検査台数も約23万台を上回るなど、精力的な活動を継続しているところです。他方、いまだに不正改造等の容疑が認められたとして都道府県警察に通報がなされた事案が散見されますので、業界として引き続き緊張感を持って不正改造の絶無に向けた取組の推進をお願いします。警察といたしましても、今後とも、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事案に対しては、厳正な取締り等を推進していきたいと考えています。また、推進機構においては、先ほども申し上げたとおり、本年からぱちんこ営業所における依存防止対策の実施状況調査を実施するなど、様々な面で業界の健全化に貢献していると考えられるところ、引き続き、業界全体で推進機構の活動への支援等をお願いしたいと思います。

次に遊技機の流通における業務の健全化についてお話しします。

遊技機の流通については、その過程において型式の同一性が担保されるよう「製造業者遊技機流通健全化要綱」等が制定されて以降、業界における制度の理解も促進されていると伺っています。引き続き、遊技機の流通に携わる関係者が正しく制度を理解するための取組を継続していただくとともに、取組の継続をお願いします。

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