また、基本計画には、警察が行うべき取組も記載されており、各都道府県警察においては、ぱちんこ営業所に対する立入り等を通じて、依存防止対策に係る措置が適切にとられているかの確認を随時行うこととしておりますので、御承知おき願います。
さらに、基本計画の取組の一つである「依存症対策の基盤整備」に関しては、本年9月17日に発出された厚生労働省から各自治体への通知文にあわせ、本年9月19日付けで貴団体を始めとする各ホール関係団体に対し、「ギャンブル等依存症対策における各地域の包括的な連携協力体制への参画について」と題した通知文を発出しております。皆様におかれましては、各地域の包括的な連携協力体制に参画し、他の関係機関との円滑な連携を確保するとともに、情報や課題の共有、最新の知見の収集等を図り、業界における依存症対策への活用を検討していただくようお願いします。
以上、ぱちんこへの依存問題への対策についてお話ししてきましたが、この依存問題については、国会や報道等においても大きく取り上げられており、皆様の業界としての取組が注目されています。9月19日付けで、貴団体を始めとする各ホール関係団体に対し、基本計画に掲げられた各施策に係る先進的な取組について、随時報告していただくことをお願いしたところです。警察庁としても良い取組は積極的に紹介していきたいと考えております。
次に、射幸性の抑制に向けた取組についてお話しします。
射幸性の抑制に向けた取組として、業界を挙げて、新基準に該当しない遊技機の撤去に努めているところ、貴団体におかれましては、業界における射幸性抑制に向けた取決め事項に積極的に取り組むよう会員企業へ周知徹底されていると承知しております。ぱちんこへの依存問題等により、ぱちんこ業界に対し、国民から厳しい視線が向けられる中、自主的に決定した削減目標が着実に達成されるよう、業界全体として真摯な取組を進められることを期待しています。
次に、検定機と性能が異なる遊技機の問題についてお話しします。
誠に残念なことですが、営業所において遊技くぎを曲げて検定機と異なる性能を創出する事案は、いまだに継続して発生しております。これまでにも、そのような事案は射幸性の適正管理を侵害する悪質な不正改造事案であると申し上げているところ、それでもなお行われるくぎ曲げについては、とりわけ厳しく取締り等を行う必要があると考えています。
貴団体におかれましては、こうした問題の絶無に向けて積極的に尽力されることを期待いたします。
次に、遊技機の不正改造の絶無についてお話しします。
まず、悪質巧妙化している不正改造に対処するため、ぱちんこ営業者、遊技機製造業者という垣根を取り払い、事案の情報共有や有効な防止対策を業界全体で模索し、効果的な施策をより一層推進していただきたいと思います。
また、一般社団法人遊技産業健全化推進機構の立入検査において、いまだに不正改造等の容疑が認められたとして都道府県警察に通報がなされた事案が散見されますので、業界として引き続き緊張感を持って不正改造の絶無に向けた取組の推進をお願いいたします。さらに、先ほど申し上げたとおり、ぱちんこ営業所における依存防止対策の実施状況調査についても、今年度中の調査開始に向けた準備が進められているものと承知しております。業界にあっては、この調査が早期かつ実効性をもって実施されるよう、推進機構への支援等をお願いいたします。
警察といたしましても、今後とも、推進機構と積極的に連携しつつ、不正改造事犯に対しては、厳正な指導・取締りを推進してまいりたいと考えております。
次に、ぱちんこ営業の賞品に関する問題についてお話しします。
まずは賞品買取事犯の根絶についてです。
賞品買取行為の規制違反は、いまだに継続して発生しています。賞品買取行為の規制は、ぱちんこ営業と賭博の一線を画す重要な規制であり、ぱちんこ営業の根幹に関わるものであることから、警察といたしましても、賞品買取事犯に対しては引き続き厳正な取締り等を行っていくこととしておりますが、貴団体におかれましても、今一度、営業者一人一人にまで、賞品買取行為の規制の重要性について周知徹底していただきたいと思います。
次に、賞品の取りそろえの充実及び適切な賞品提供の徹底についてです。
平成18年にぱちんこ営業者関係5団体によりなされた「ぱちんこ営業に係る賞品の取りそろえの充実に関する決議」について、今一度、この決議の重要性を認識していただきたいと思います。
また、今一度、各ぱちんこ営業者にあっては、自身の営業所の賞品が等価交換規制を遵守したものとなっているか確認していただくようお願いします。
最後に、広告・宣伝等の健全化の徹底についてお話しします。
広告・宣伝等の規制については、特定の日に特定の遊技機を示し、イベント開催を告知して射幸心をそそるものや、隠語を用いて規制の目をかいくぐろうとするような悪質な事案がいまだに発生しております。こうした広告・宣伝を行うことは、現在業界で進めているぱちんこへの依存防止対策に逆行する行為にも当たるのではないかと思います。このような違法な広告・宣伝等については、今後も指導・取締りを行っていきますが、健全化が警察の指導・取締りによってではなく、業界自らの取組によって進められるよう努めていただきたいと思います。
加えて、広告・宣伝については、基本計画において、本年度中に、全国的な指針を策定し公表することとされています。業界として、基本計画における取組を着実に推進していく上で、こうしたぱちんこへの依存防止に資するような広告・宣伝の在り方についても、他の業界における広告・宣伝に係る自主規制等も参考として、しっかりと検討していただきたいと思います。
以上、ぱちんこ営業の健全化を推進する上で特に留意していただきたい点を申し述べました。
ぱちんこ産業は、遊技人口が減少傾向にあるとはいえ、なお、非常に多くの方々が参加している娯楽産業であります。ぱちんこへの依存防止対策等の各種課題は山積しておりますが、業界が一丸となって、一つ一つ迅速かつ真摯に対応していただきたいと思います。その実現なくして、ぱちんこは健全な遊技たり得ないと考えます。他方で、今後とも健全化を含む各種課題に真摯に対応する皆様から要望等があれば、我々も真摯に耳を傾ける所存です。
貴団体におかれましては、「より良い産業を目指して」という貴団体の理念の下、今後とも国民的な娯楽産業としてのぱちんこ営業の健全化に向けて一層尽力されることを期待しております。
結びに、貴団体のますますの御発展と皆様方の御健勝、御多幸を祈念いたしまして、私の話を終わります。