3月6日に都内で開かれた第2回ギャンブル等依存症対策推進関係者会議の議事録がこの度、公開された。
議事録によると関係者会議のメンバーである全日遊連の阿部恭久理事長は、ギャンブル等依存症対策推進計画(案)について、宝くじが議論の対象になっていないことについて問題提起。「諸外国等では、宝くじという部分が依存対策費用を担っている国もあるように聞いている。また、テレビ等でも大きな額の話をCMで流しており、こういった部分で統一的な見解が必要ではないか」と述べ、基本計画(案)の対象に宝くじやロトが含まれていないことで、国民が違和感を持つことを危惧した。
また阿部理事長は、基本計画(案)の中でパチンコ業界側に求められたATMの撤去推進についても言及。ホールのATM設置に対し懸念の声があることを真摯に受けとめているとした上で、ATMの撤去を業界側が推進した場合の問題点を説明。「ATMは個別の企業が個別の運営会社と契約をしており、事業者団体が撤去を強制すると独禁法に触れる可能性もある」と述べ、ATMの撤去推進について事業者団体としてどのように進めるかが難しいとした。
また会議では、阿部理事長と同じく関係者会議のメンバーであり、認定NPO法人ワンデーポート(ギャンブルで問題を抱える人の回復施設)の中村努施設長が、ギャンブル等依存症に対する認識が曖昧なまま対策を進めることに疑問を呈した。
同氏は「どこの回復施設、医療機関であろうとも、(依存症は)すっきり回復しないのが普通。回復よりも、個別の困難に周囲や家族がどう寄り添うかが大事だ」と依存症対策の実態を説明。その上で「回復を前提に話が進んでいるのは違和感がある」と述べた。
また「(依存症が発症すれば)医療機関に行けばいいという簡単な問題ではない」とする一方、「医療機関や自助グールに行かなくても、自然回復する人もたくさんいる」とも話し、こういった事実の発信も必要だと主張。さらに「自然回復した人がどのように回復したかも調査する必要がある。自助グループや回復施設に行っている人はかなり特異であり、そのような悲惨な話を聞いただけでは(国内のギャンブル等依存症の疑いがある者とされる)70万人の依存対策にならない」とした。