ギャンブル等依存症対策推進関係者会議の第2回目が3月6日に開かれ、ギャンブル等依存症対策推進基本計画(案)が関係者に示された。基本計画(案)は、政府のギャンブル等依存症対策推進本部がパブリックコメントを3月7日より実施(~3月26日まで)し、その後、基本計画を決定する。
基本計画(案)のパチンコ営業に関わる主な取り組み内容は下記の通り。依存問題の抑止に向けた広告宣伝に関する全国的な指針の策定や、入店制限の強化、営業所内からのATM撤去の推進などを求めている。
◆広告宣伝の在り方
1.全国的な指針の策定による広告・宣伝の抑制
・依存問題の発生抑止につながるよう平成31年度中に、広告宣伝に関する全国的な指針を策定し、公表。同指針には、注意喚起標語の一定の大きさや、(テレビCM等の場合)時間の確保等を盛り込むことを検討。
2.普及啓発の推進
・年間を通じ、青少年を含め、依存問題に関する普及啓発を推進。
・平成31年度から、啓発週間に、啓発資料を配布し、シンポジウム・講演会を開催。
◆アクセス制限
1.自己申告プログラムの周知徹底、家族申告による入店制限の導入
・平成31年度以降、自己申告・家族申告プログラムの周知強化
・平成31年度中に、本人の同意のない家族申告による入店制限を導入。
・平成33年度までに、複数店舗への申告に関する負担軽減策を実施。顔認証システムの活用に関わるモデル事業等の取組を検討。
2.年齢確認の実施
・平成31年度中に、18歳未満の可能性があると認められる者に対する身分証明書による年齢確認を原則化。
◆施設内の取組
1.ATM等の撤去
・平成31年度以降、営業所内のATM及びデビットカードシステムの撤去を推進。
2.出玉規制を強化した遊技機の普及、出玉情報等を容易に確認できる遊技機の開発・導入
・旧基準機の経過措置が終了する平成33年春までに、全ての遊技機を新基準機に入れ替える。
・出玉情報等を容易に確認できる遊技機の導入に向けて検討。
◆相談・治療につなげる取組
1.自助グループを始めとする民間団体等に対する経済的支援
・平成31年度中に、依存問題に取り組む民間団体等に対する支援を開始し、以降、毎年度、実績報告書を作成・公表。
2.依存問題に詳しい専門医等の紹介
・平成31年度から、都道府県等が選定した依存症専門医療機関等の情報を「安心パチンコ・パチスロリーフレット」に記載するなど、周知を強化。
3.リカバリーサポート・ネットワーク(RSN)の相談体制の強化及び機能拡充のための支援
・平成33年度までに、RSNへの相談状況に応じ、RSNの相談体制・機能を充実強化。
◆依存症対策の体制整備
1.「安心パチンコ・パチスロアドバイザー」による依存防止対策の強化
・平成33年度までに、安心パチンコ・パチスロアドバイザーの活動の手引きの内容を充実させ、同制度の運用を改善。
2.依存防止対策に関わる実施規定の制定
・平成31年度中に、広告・宣伝に係る指針、18歳未満の者の営業所への立入りを防ぐ取組等を盛り込む「依存問題対策要綱」(仮称)を制定・公表。
3.業界の取組について評価・提言を行う第三者機関の設置
・第三者機関「パチンコ・パチスロ産業依存対策有識者会議」の評価・提言を積極的に活用。
4.遊技産業健全化推進機構による依存防止対策の立入検査
・遊技産業健全化推進機構は、平成31年度から、営業所における依存防止対策の取組状況の点検を開始。
5.営業所の管理者の業務に関する運用状況の確認とその改善
・都道府県公安委員会による報告・立入り、遊技産業健全化推進機構による点検を通じて、各営業所における依存防止対策の取組状況を随時確認し、改善を促進。
上記のうち、自己(家族)申告プログラムについては、業界では平成27年10月より自己申告プログラムの運用を開始し、平成30年12月末時点で、導入店舗は2,195店舗まで普及。また家族申告プログラムも平成29年12月より運用を開始している。
今回の基本計画(案)では、現在、本人の同意を得た場合のみ、当該本人の入店を制限している家族申告プログラムを、本人の同意のない家族からの申告に基づく家族申告プログラムにするとともに、自己(家族)申告プログラムの導入店舗を業界団体のウェブサイトに掲載することで、依存防止対策が進んでいる店舗として情報発信することとした。
また平成33年度までに、自己(家族)申告プログラムへの申告に当たり、ウェブ経由で申込書を入手できるようにすることや、複数店舗に申告する際に書類作成の負担軽減、顔認証システムの活用など申告対象者の把握を容易にする取り組みの検討についても基本計画案に盛り込んだ。
一方、営業所内のATM等の撤去だが、平成30年12月末におけるATM設置店舗数は約1,100店舗で、これらの店舗に設置してあるATMはキャッシングやローン機能は有しておらず、1日3万円、1カ月8万円の利用制限が設けられるなど、既に一定ののめり込み対策が実施されている。
基本計画(案)では、平成31年度中に、営業所のATM及びデビットカードシステムの撤去に向けた検討に着手し、その結果に基づき、順次、撤去を推進していくこととしている。