日電協はこの度、「不正改造ゴト事案」に関する調査報告書を作成、関係各所に配布した。報告書では調査期間内(2012年~2018年上半期)においてホール側が被ったパチスロ機(※日電協加盟メーカー分)のゴト被害額を約280億円と推計。今後、業界団体及び行政等と情報を共有し、官民挙げて被害防止へ厳しく対応することが必要とした。
報告書には、不正改造ゴト事案の発生状況や不正手口、ゴト犯罪の背景、業界側の今後の対応がまとめられている。
調査期間内に同組合が認知した「不正改造ゴト事案」は、9メーカー28機種(1,516台)に上る。2016年まではサブ制御基板における不正ROMとの交換、2017年以降は不正部品の取り付けが主な不正手口だ。不正改造ゴトの被害にあう機種は、販売台数が3万台を超えるような人気機種がターゲットとなりやすく、そのため被害メーカーは大手メーカーが多い傾向にある。
報告書では、不正改造ゴトが発生する背景として、「大規模で資金力のある反社会的な犯罪組織」と「業界内の協力者」の存在を指摘する。さらに「ホール、メーカーの損害が巨額に上り、特にホールの損害はそのまま犯罪組織の利得、資金源になっている可能性が高い」とした。なおホール側の被害額は、同組合が不正改造ゴト事案として認知した1,516台が、1日1台あたり2,500枚搾取され、発覚までの日数を1年と仮定し、276億円(約280億円)と推計した。
過去、不正改造ゴトの防止に向け同組合では、2013年に発生したエンターライズ社のパチスロ機に対するサブ制御基板の不正ゴト事案を契機に、その後、3年間かけて、3社8機種の点検確認を実施。全国のホールに設置されていた91,296台を確認し、1,059台の不正改造されたサブ制御基板を回収するなど対応に当たった。
報告書では今後、不正改造ゴト事案を減らすためには、「不正改造ゴト事案と、その被害の業界内での情報共有」「ゴト犯罪者や協力者に対する厳しい追及」といった業界内の防犯対策の推進に加えて、警察によるゴト犯罪者の検挙が不可欠とした。そのため、業界側では、不正改造ゴトの深刻さや検挙の必要性を都道府県警察にも訴えていく必要があるとした。
また現状の問題点として、遊技機の稼働停止の懸念、内部犯行だった場合に自社が処分を下される恐れがあること等から、被害届の提出に消極的なゴト被害者(ホール経営者及び法人)が多いことが挙げられる。この点については被害届を出しやすい環境を整えることが必要としている。