いわゆる「パチンコ依存」のおそれのある人の数などを調査した「パチンコ・パチスロ遊技障害全国調査」の報告会が8月24日、都内千代田区のホテルグランドアーク半蔵門で開かれた。
同調査を実施したのは日工組社会安全研究財団内に設置した「パチンコ依存問題研究会」。調査は全国の18~79歳9,000名を無作為に抽出して行われ、「パチンコ・パチスロ遊技者の人口比率及び推定人口、遊技状況」「ぱちんこ・パチスロ遊技障害(パチンコ依存)のおそれのある人々の人口比率及び推定人口」などを算出。計5,060名から有効回答を得た。
回答者5,060名のち、1年未満に遊技を行った人は582名(11.5%)。これらの人に対し、パチンコ・パチスロ遊技障害の尺度を正しく測定するために同研究会が開発した「PPDS(Pachinko-Pachislot Playing Disorder Scale)」について回答を求めた。
その結果、「直近1年間において軽度以上のパチンコ・パチスロ遊技障害を有するおそれのある日本在住の18~79歳人口」の推計は39万9,799人(全回答者の0.4%)。また、「直近1年間」だけでなく「生涯の特定の1年間」という条件も含めるとその推計値は89万4,876人(全回答者の0.9%)となる。
直近1年間の遊技障害のおそれのある人には、そうでない人に比べて、「離婚の経験が多い」「預貯金のない人が多い」「過払い請求や任意整理の経験のある人が多い」「来店頻度が多い」「平均利用時間が長い」「平均負け額が多い」などの特性が見られた。ただし、これらの因果関係は現時点では特定できておらず、今後の課題とした。
同研究会は、牧野暢男氏(日本女子大学名誉教授)、河本泰信氏(よしの病院精神科医)、坂元章氏(お茶ノ水女子大学教授)、佐藤拓氏(成瀬メンタルクリニック院長)、篠原菊紀氏(諏訪東京理科大学教授)、西村直之氏(リカバリーサポート・ネットワーク代表理事)、石田仁氏(日工組社会安全研究財団主任研究員)の7名で構成。お茶の水女子大学が調査主体、日工組社会安全研究財団が共同研究主体となって調査を実施した。
同研究会の会長でもある牧野暢男氏は「パチンコ・パチスロ遊技障害の予防、介入、治療などの方策を検討するためには、遊技障害に至る経緯や要因を、より明確にする必要がある。それができないと遊技障害になる人をどうやって減らせるのかが分かりにくい。明確にする更なる研究が必要だ」と語った。
同調査は、パチンコ・パチスロ遊技障害を主テーマとした全国初の調査。年度内に本調査の内容をまとめ報告書として公刊予定だ。