【寄稿】あるべき指針(WEB版)/POKKA吉田


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9月8日に日工組と日電協が合同でプレスカンファレンスを開催しているのは周知だろう。ここでは3点について説明があった。説明順に並べると「ぱちんこ:通常時フラグの説明」「ぱちんこ:射幸性4カテゴリーの説明」「日工組日電協合同での低中射幸機(Lv.1スーパーライト、Lv.2ライト、ノーマル、BT、低射幸AT)普及施策(みんパチ・スロサミでの特設ブース、来年2月の導入強化月間)」となる。おそらく多くのホール関係者はこの説明順に重要視しているかと思う。しかし私はこの説明の逆の順に重要視している。それこそが表題の意味だ。

日電協は昨年の総会にて2年以内にBT機のシェア10%を実現目標とするBT10を決議した。以後、日電協小林理事長は業界の会合のどこにおいてもBT10について触れるくらいに熱心である。

日電協のBT10から1年と3ヶ月ほど経過してプレスカンファレンスとなった。これで日工組と日電協というメーカー2団体がともに低中射幸機の普及に積極的に取り組むということを正式に表明した。これは私の知る限り、「日工組・日電協の積極的な意思」として初めてのことだ。

古い話から振り返ってみる。

私が業界に入った頃は社会的不適合機自主撤去の最終局面だった。この自主撤去はもちろん警察庁の問題視から始まったものであり、法的にはセーフでも社会的にはそうとは言えないとして自主撤去という、今考えるとかなり奇妙な建付けであった。

自主撤去された機種にはかなりの高射幸性機もあった一方でそこまで射幸性が高くない機種も多かった。自主撤去終了以降はCR1種が315分の1、50%確変、5回リミットという金太郎飴状態に移行するが、自主撤去された現金1種200数十分の1、20%前後の保留連チャン機と比較すると明らかにCR1種315分の1の方が射幸性が高い。警察庁に言われてやって射幸性を必ずしも抑制していないという変な事例であった。

爆裂機問題における4.1号機も特徴的だろう。4.1号機とは平成14年に日電協が作った自主規制区分の一つであり、同年末までは納品設置可能として翌年以降はNGとされたものだ。文言的には「適度の射幸性を超えるおそれがあると認められる遊技機」であり、それを年内は販売し続けるとしたわけである。

平成16年以降の日工組内規改定の変遷も同様だ。499から399に、パカパカ当たり規制、継続率規制、319、など数多くの改定を繰り返してきたが、それらの全ては警察庁の指導によるものである。自らの意思で規制を強化したことはない。

平成19年に業界15団体(当時の21世紀会の団体数)による「手軽に安く遊べるパチンコ・パチスロキャンペーン」が開催されたがこれもまさに警察庁に言われてやったものの好例だ。そもそもキャンペーンタイトル案が掲載された周知ポスターデザイン案を当時の警察庁の課長補佐に見せたときに「もっと手軽に安く遊べるということがわかる内容が望ましい」と言われて、その言われたことをそのままキャンペーンタイトルにしてしまったくらいである。

5号機時代のART問題の影響と5.5号機~5.9号機までの自主規制の変遷は先程触れた日工組内規改定の変遷と非常によく似ている。警察庁の問題視レベルがかなり高いことを把握したからこそ日電協が中心になって5.9号機までのかなり厳しい自主規制を繰り返したことで実際に新機種の射幸性は抑制されていった。しかしこれまた警察庁に言われて実施してきたものである。

当時の高射幸性遊技機の問題を振り返っても、射幸性を抑制しようという意思は警察庁にあって業界側にはない。業界側はむしろ「警察庁が怒らない範囲で射幸性追及は続けたい」というのが基本的なカルチャーだった。これはメーカー団体だけではなくホール団体も同じと私は考えている。

社会的不適合機自主撤去よりもさらに過去を遡っても、歴史的には同様だろう。業界は射幸性を追及して発展し、行政に指導され射幸性を抑制し、また別の手段で射幸性を追及し、また行政に指導され射幸性を抑制し、の繰り返しであった。実際に射幸性が抑制されたケースであっても、仕方なく業界がやっていたというのが実態だ。

そういう意味で今回の低中射幸機普及に日工組・日電協が合同で取り組む姿勢というのは、業界の歴史上かつてなかったことだと思う。日電協のBT10や日工組のLv.1スーパーライト、Lv.2ライト(羽根モノを含む低中射幸機)の普及という目標は、警察庁に言われて設定したのではない。日電協は自らBT10をスリープユーザーの呼び戻しや新規ユーザー確保に必要な施策だと公言しているし、日工組も同様に自ら取り組んでいる。羽根モノが今後従来よりもたくさんリリースされることは周知だろうが、それも警察庁が言ったからではない。日工組メーカー各社がそれが望ましいと考えたから、である。

それなりの年月を業界内で過ごしてきて、業界側が自ら射幸性を抑制しようと取り組んだのは低貸島を除けば初めてのことだ。なお、低貸島については私は遊パチ系の盛り下がりが原因だと考えている。ホール職域は射幸性を抑制しようとしたのではなく「高射幸性の島とは別に低射幸性の島も必要なのにメーカーは相応しい機械をあまり出してこない」と考えて仕方なく自ら貸料金を引き下げたコーナーを作ったということだ。

先程「遊パチ系の盛り下がり」としたが、この遊パチという言葉は手軽に安く遊べるパチンコ・パチスロキャンペーンで公募されて決まった言葉とロゴデザインである(私はこの言葉を滅多に使わない)。このキャンペーンが大成功していれば低貸島の普及はなかったかもしれないが、警察庁に言われて仕方なく開催したものが大成功するはずもない。今となっては低貸島は店舗にとって必要不可欠なコーナーであるが、それは4円島の甘系が弱いことの裏返しだ。4円甘系のアウトが低貸島を超えるくらいに盛り上がれば多くの店舗で低貸島は減るはず。玉単価が高い方が儲かるのは理屈である。

今回の日工組・日電協の取り組み、特に日工組の4カテゴリー分類の明示によってぱちんこ遊技機の射幸性を遊技客が一目で把握できることになることも低中射幸機普及にとっては重要だろう。4カテゴリー区分については新機種はメーカー自らロゴ掲載等で表示していくことになるが、既に販売済みの機種についても日工組HPで今後掲載予定と聞いている。このため、11月からホールが4カテゴリーロゴなどを島等でデザインする場合に設置機種のカテゴリー区分が不明ということはないはずである。

今回の日工組・日電協の取り組みは「自ら必要に迫られて実施する」ということで私は重要視している。実際に普及が進むかどうかは登場する新機種の能力次第なので個別に機種を吟味する必要もあるが、自らの意思で登場させようという新機種は、警察庁に言われて登場させようという新機種よりも良いものになる確率は高いと思うので、期待しておきたい。

私は低中射幸機の普及が進み低貸島割合が少し減少するくらいになった方がホール職域の収益性も向上すると考えている。だからそういう将来に向けて日工組・日電協は頑張ってもらいたい。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。


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