【コラム】遊技デザイン考03「図柄のルールと印刷」(WEB版)/サイバーおかん

パチスロ図柄の印刷方法

こんにちは! サイバーおかんです。

前回は、図柄デザインは決められた規格に沿って作られている、そしてそのルールに合わせて時代と共に図柄表現は変わっていくというお話をしましたが、今回は規格に合わせて制作される図柄の印刷についてです。

図柄が印刷されているリールの印刷には通常「シルクスクリーン」という印刷方式で作られています。シルクスクリーンは工業製品、筐体などに多く使用され、みなさんの身近なところでは、Tシャツ印刷などでも聞きますね! シルクスクリーンは「水と空気以外なら何にでも刷れる」と言われるほど自由度が高く、厚いインクや特殊インクを使えるため、光を扱うパチスロ図柄と相性の良い印刷方式です。

一方、家庭用プリンターなどで使われるインクジェット印刷は、データを直接出力できるため色ずれが少なく、写真やグラデーション表現を得意とします。パチスロ開発でも試作にはインクジェット、量産にはシルクスクリーンと使い分けられることがあります。

シルクスクリーン印刷では、刷りたい色を一色ごとに、その形の版(型のこと)を作り、その版を刷りたい場所に手作業(または機械で)セットし、版を通してインクを落とし刷ります。1色ごとに版を変えて刷るため、刷りたい場所に完全に一致させて刷るのが物理的に難しく、どうしても「版ずれ」(色ずれ)のリスクが高くなります。

通常の印刷物でも版ずれは大問題ですが、パチスロの図柄にとってもかなり大変な問題になっています。

パチスロの図柄規定には「鮮明であり、かつ、遊技者に識別しやすいこと」「図柄の大きさは、図柄の種類に応じて、すべての回胴につき同一であること」といった条件も定められています。

万が一印刷のずれが起こった場合、この同一性が損なわれる恐れがあります。そうなってしまうと、遊技機の型式試験で不適合となり、すべての試験のやり直しとなります。厳しい検査を受けて適合を目指す中、図柄で落ちてしまうわけにはいきません!

そのため、決められた規定の図柄のルールに加え、シルクスクリーンの印刷方式に考慮したデザインデータを制作する必要があります。

こちらはセブン図柄、版数は5版になります。どのような構成になっているかわかるでしょうか?

サイバーおかん_01

答えは……刷る順番で言うと、①黒→②赤→③黄色→④白→⑤ちぢみ の順になります!(実際はリールの裏側から反転させて刷ります)

サイバーおかん_02

版構成

アップで見ると……色の版がずれていますね。(わかりやすく大袈裟にずらしています)

これを大外の黒ふちで隠してしまうと……こうすることで図柄のサイズは大外の黒で固定、ずれはほぼわからなくなります!

サイバーおかん_03

昔から製品で描かれるキャラクターの縁が太いのは、このような印刷状のデザインも考慮して制作されていたからだと考えられます。太い縁に合うコミカルなキャラが増えたのも、それぞれの理由をデザインでカバーしてきたからと言えるのではないでしょうか。

ところで、⑤ちぢみとはなんでしょう? みなさまが目押しをするときの助けになっている、図柄の透過箇所に使用されているものです。

サイバーおかん_04

ちぢみなし(左)、ちぢみあり(右)

透過部分はそのまま直視するとLEDがとても眩しいため、光を拡散させる目的で使用されています。透過部分にUV(紫外線)インクを使用し、この部分に紫外線を照射してインクを硬化させるのですが、その際にインクが収縮しちぢみ模様ができます。

みなさん、ぜひ図柄の話をする時に、〇〇のちぢみ部分は凝っててきれいやね!など、使ってみてくださいね(笑)。

今回は図柄の印刷についてでした。次回も図柄について掘り下げていきますね!

A4book_P16-P17 okan

©2004,2007 河森正治・サテライト/Project AQUARION, ©SANKYO

■プロフィール
サイバーおかん
デザイナー/クリエイター。パチスロメーカーのデザイナーとして図柄やパネルデザインに約10年携わり、現在はフリーのデザイナーとして活動する傍ら、「サイバーおかん」としてDJやイベント出演、遊技文化を軸にした表現活動を行っている。
X:https://x.com/1_design

-コラム
-,