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【寄稿】今年も残り1ヶ月半(WEB版)/POKKA吉田

投稿日:2023年11月29日 更新日:

四半期ごとの決算を上場企業は公表するが、業界関連の国内の上場企業の業績は好調さが目立つ。これは単純に好調なところが遊技機メーカーや設備業者というように、ホール職域が国内株式市場にはないことと、今年のメーカーや設備職域がスマート遊技機の登場もあって売れたこと、また販社もフィールズのように遊技機メーカーと近い(というかグループにはメーカー職域すら持っている)ところが上場しているわけだから、追い風となるのも当たり前のことだろう。

その一方で10月末にガイアが民事再生となっている。これは推測になるのだが、業界内の職域ごとの状況としては、基本的にはどの職域も「優勝劣敗がさらに加速」「遊技機メーカーと設備業者の中には極端に好調なところも目立つ」ということなのだろうと思う。ホール企業の上場が海外だけではなくて国内でも当たり前のことであれば、今の時期は好決算と苦しい決算とで、各社明暗を分けたのではないだろうか。

さて、10月は正直言って、私にとってはかなり残念な一ヶ月となった。今のところSAO以外に成功機種が存在しないスマパチ市場において、新海物語と義風堂々と2機種の導入月だったのだが、この2機種ともに失敗に終わったからだ。現状市場はSAOとその他。本稿執筆時点では鬼太郎は導入済みだが結果はどうなるか保留中だ。こちらはP機と同時なので、結論をすぐに出せないでいる。なので鬼太郎を除いた上での「SAOとその他」である。この先、鬼太郎がSAOに続く結果と言えるなら良いことである。

スマスロが市場に定着したことによってパチスロメーカー職域に活気が戻り、ホール店内も活気が戻った、とは言い過ぎかもしれないが、昨年前半までのパチスロ島とは雲泥の差ということは間違いない。一方、ぱちんこは性能規制に厳格化などのネガティブ要素はない上スマパチのように規制緩和も込みなのに約1年半ほどで急激に失速。もともとぱちんこ島は絶好調だったわけではなく、特定機種の人気に支えられていただけに過ぎず、その特定機種がRe:ゼロ以降登場しなくなり、続く機種が大海5だけ、という状況下での今年だからこの現状も致し方ない。

そもそもぱちんこを遊技する時間の方が多い私にとって、近年のぱちんこは遊技するのがあほらしくなる。東京都在住だから日常生活の中で遊技する際に10割分岐の店はないし、埼玉県は近いのだがわざわざ県境を超えようという遊技動機もない。私は日常生活範囲の中で、あいた時間にフラっと行くのが遊技だと考えているので、わざわざ行くことも並ぶことも一切しない。だから10割分岐の店で遊技するのは「たまたま用事で東京を出て、時間が余ったときだけ」である。

基本11.2割分岐の遊技なのに近年、スタート回数が極端に低い。ベース値との兼ね合いだが、15回/千円を切るスタート回数がそこかしこに当たり前の顔をして存在している。これではあいた時間にフラっと遊技しようと思おうにも一つ前の遊技での低スタートの記憶が行動を邪魔する。「もう、あの機種は一度打ったからリピートする必要ないやん、時間とカネの無駄だわ」と、心の中でもう一人の私が話しかけてくる。それに常に抗うほどの機種は、今年、私の中では登場していない。それは今年評価されるべき大海5やSAOでも同様であり、10月に最も遊技したであろう咆哮のライトミドルでさえ同じである。

まあ、移動説やらパチスロが好調で新台入替のための予算確保のための低スタート化やら、いろいろ言い出したらキリがないが、今、移動も何もぱちんこ島の魅力は私の行動範囲の中では約1年半で激減している。私はもう20年ほど遊技時間が「ぱちんこ>>>>>>>>パチスロ」というくらいにぱちんこに寄っているが、パチスロの遊技時間は特に極端に増減していない。ぱちんこの遊技時間が極端に減少しているのが今だ。そういう主観だから「ぱちんこからパチスロに移動した」というPS移動説には懐疑的である。

それはさておき、11月は、評価を保留している鬼太郎の他にも本稿執筆時点では未導入のルパンとRe:ゼロ2が控えている。スマパチとしては月3機種であり、この辺でSAOに続く、なんならSAOを超えて大海5を超えて今年No.1機種となるものが登場してほしいし、12月のエヴァにもそれは同じことを期待している。また、スマパチ市場はSAOとその他になっているためにスマパチの成功機種事例が増えることは最優先として考えたいが、P機ももちろん成功機種が渇望されている。特に鬼太郎とエヴァはスマパチとP機の同時導入であり、「成功するなら両方成功事例となって欲しい」と思うのはおそらくすべての業界関係者の想いではないだろうか。もっと言えばRe:ゼロ2はスマパチのみの登場であるが、P機のRe:ゼロがトップランナーのままスマパチが成功事例になるということも良いシナリオである。

本当はSAOの成功に新海物語や義風堂々が続けば、という皮算用だったし、SAOもその前のSEEDがP機の今年No.1機種となった勢いで初のスマパチ成功事例となれば、という皮算用だった。そもそも昨年末のゴジエヴァ、仕置人、SEEDのうち、どれか一つでも引き合いが強かった分だけの成功事例と化していれば、もう少しぱちんこ島の業績は楽になっていたことだろう。

これも近年多くのホール関係者が痛感していることだが、「欲しいと思った機種をかなり無理して大量に買ったときの、当該機種の成功確率がとても低くなっている」である。誤解を恐れずに言えば、今年のこの確率に勝った事例はスマスロ北斗のみ、だ。昨年末だがゴジエヴァは「あれはエヴァではないし売れ過ぎ」、仕置人は「メイン設計やゲージ構成、高クオリティ演出に向かないコンテンツ」SEEDは「台数売れ過ぎ」というエクスキューズを多くのホール関係者は語る。それはそのとおりには違いないが、台数を決める前にエクスキューズした人を私は知らないし、結果が出てから登場する言説だから分析ではなくエクスキューズと私は言うのである。また、そもそも振り返ればRe:ゼロもガンダムユニコーンも「無理してでも大量に確保する」という機種という印象はない。スマスロ北斗から遡れば咆哮がかろうじてそうか。大海5については法人によってはそういう機種に該当するが、印象としては私の中では少し外れる。SAOは仕置人のリベンジ機種となったわけだが、そのためかなんとしてでも台数確保機種という印象は私にはない。

特に今のトップランナーであるRe:ゼロは、下馬評でここまで化けるなんてほとんどの業界関係者にとっては想定外である。これは、遊技客の支持がどのように集まるか、その基準等がホールはもちろん遊技機メーカーも見えなくなってきていることの証左ではなかろうか。その意味では、危険な兆候であり、市場の栄枯盛衰は「偶然」に左右されてしまうことになる。

それを回避するにはまずは市場が活性化すること。11月残りと12月で、特にぱちんこについて良い結果になってもらって10月に残念だった分、なんなら今年の残念だった分を取り返してもらいたいと思う。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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