日工組の内規改定があってライトミドル、甘系の開発企画自由度が高くなったり、ガイドラインQ&Aが出たり、毎年恒例の日遊協総会での課長講話があって、6月の業界動向重要イベントはこの3つ、という雰囲気もあるが、実はその後半の方が業界動向としては重要な気がしている。14日の遊技産業議連では遊技機の話よりもホール営業の振興策にベクトルが転換されているし、19日のギャンブル等依存症対策推進関係者会議においては、公営競技の電話相談で最も多い内容が宝くじだった、ということが共有されたり、阿部委員(全日遊連理事長)が都留文科大学早野教授の講演内容などを関係者会議に提出したりと、政治や政府内での動きにとても重要なものが確認できている。
市場的には6月も相変わらず元気なのはパチスロの方でありぱちんこはまだ苦しいところ。7月にスマパチがまとめて導入開始となったがこれがどこまで支持を集めるか、まだ結論は出ていない。6月の主要業界団体の総会後の懇親会・祝賀会では、日工組榎本理事長が、苦戦しているぱちんこをなんとかして盛り上げる旨力説するという場面が続いていた。既に昨年の参議院議員選挙で主要団体の幹部らの連携は緊密になっていることから、団体間連携も含めてぱちんこ市場振興もどのように実現するか、真剣に取り組む必要がある。内規改定はもちろんその一助としての位置づけだろうが、これで終わりとはならないだろう。榎本理事長の言葉を借りれば「良くなるまで必ず進化し続ける」である。一年前「ぱちんこのおかげでパチスロがここまで苦しくともなんとかやっていける」と言われていた状況にまで戻さないといけないという危機感は日工組を中心におそらく業界内すべての職域で共有されている。
他にも主要業界団体の総会に寄せる警察庁松下課長の挨拶の内容に毎回のように含まれていた話が2024年問題だ。この問題はまだまだ業界関係者の間では、認識されている割合が低いようなので、少しだけここでも触れておく。
2024年4月1日から、トラック運転手の時間外労働が年間960時間上限となる(月80時間)。これは働き方改革関連法の一環であり、具体的には労働基準法の改正によって実現する法律上の義務だ。違反すれば罰則も規定されているから刑事事件にもなりうる。また事業許可についての行政処分もあり得る。
運転手の労働時間制限が生じるのは、運送業一般としてはかなり厳しい。というのも、繁忙期を考慮すれば、この上限を超えている労働実態が運送業全体にはかなり多いからだ。働き方改革というくらいだから、「労働時間が極端に長くならないように≒ブラック労働をなくそう」くらいのイメージではあるが、運送業は給与体系がまた特徴的。走行距離で稼ぎが変わるドライバーも多いことから、「ブラック労働回避で所得低下」になりかねない、という指摘もある。
また、基本的には業務の効率化で対応することになるのが運送業者だが、それでも足りない部分は人出を増やす等になる。ところがドライバーの人出不足、高齢化などもあり、さらには人出を増やせばコスト増。その分を料金に転嫁すれば荷主はより価格競争力の強い運送業者に鞍替えし、中小の運送業者にとっては死活問題となる。
これが2024年問題の一般論。そして我々の業界は遊技機を専門的に運ぶ運送業者が必要不可欠なのだ。