2. 日工組内規の改正、パチンコ冬の時代へ
また日工組としても、大きな決断を下していた。自主規制として、非常に厳しい内規へ改正したのである。内容としては、1996年10月1日より保通協に持ち込まれるものについて「①確率変動は次回までとすること(2回ループの禁止)」、「②確率変動の突入率・継続率は2分の1を超えるものでないこと」、そして「③確率変動の連続合計値が80ラウンドを超えないこと」を組合員に義務付けた。1回の大当たりが16ラウンドなら5回の大当たりで80ラウンドに達する。この場合、最高で5連チャンまでしか確変を継続出来ない事から「5回リミッター規制」と呼ばれた。
せっかく確変で当たっても、確変は最高5連チャンしかしないとなると、ファンもおのずと投資金額の上限が決まってくる。この「5回リミッター規制」の影響は大きく、パチンコ市場は一気に冷え切った。また、既に設置している2回ループ機を外すわけにはいかないホールとしては、当然「5回リミッター機」である新台の導入を控える。遊技機メーカーの業績にも大きな影響を与えた。こうして、日本社会のバブル崩壊という社会情勢下においても市場規模を拡大し続けてきたパチンコにおいて遂に「CRバブル」は終焉する。日本経済のバブル崩壊から遅れること6年後、パチンコは冬の時代を迎えた。
しかしこの業界には、苦境を乗り越える救世主が登場する。その機種は「クランキーコンドル」と「ウルトラマン倶楽部3」。もちろん「パチスロ機」だ。
(以下、次号)
■プロフィール
鈴木 政博
≪株式会社 遊技産業研究所 代表取締役≫立命館大学卒業後、ホール経営企業の管理部、コンサル会社へ経て2002年㈱遊技産業研究所に入社。遊技機の新機種情報収集及び分析、遊技機の開発コンサルの他、TV出演・雑誌連載など多数。