香港といえば東アジアの国際金融センターの一角を占め、中国本土市場へのゲートウェイとしても機能するビジネス都市のイメージが強いが、世界的に知名度の高い「香港競馬」も存在し、ギャンブルと無縁ではない。
競馬以外のギャンブルとして、マークシックス(宝くじ)とサッカーくじがあり、いずれも政府とコンセッションを結ぶ香港ジョッキークラブ(HKJC)によって運営されている。
2月下旬、サッカーくじをめぐって興味深いトピックが出現したため、ご紹介をさせていただきたい。
まず、香港のサッカーくじについてごく簡単に説明すると、海外で開催される試合が対象となり、日本代表やJリーグも含まれる。賭け方は日本のtotoと比較してバリエーションがかなり多いのが特徴だ。売上規模については後述するが、サッカー人気は根強く、コロナ禍でも堅調に推移している模様。場外馬券売り場のほか、事前に手続きをすることでオンラインでもベットでき、近年はコロナ禍もあってオンライン経由が主になっているとされる。
香港政府は2月22日、2023-24年度の財政予算案を公表した。香港経済はコロナ禍で長期にわたって低迷を余儀なくされており、引き続き財政赤字が見込まれる。厳しい状況の中、財源確保策の一環として、同年度から5年間にわたり、HKJCからサッカーくじのゲーミング税として毎年24億香港ドル(約418億円)を追加徴収することが盛り込まれた。5年間トータルでは120億香港ドル(約2088億円)に上る。加えて、ゲーミング税とは別枠となっているローカルの慈善事業に対する拠出金を減額してはならないと注文が付いた。
香港におけるサッカーくじのゲーミング税は売上(総ベット額)の50%と規定されている。現地主要紙が2月23日に政府消息筋の話として伝えた内容によれば、昨年HKJCが政府に納めたゲーミング税は255億香港ドル(約4437億円)で、このうちサッカーくじ分は約99億香港ドル(約1723億円)だったとのこと。税率が50%のため、売上は約198億(約3445億円)香港ドルと推測できる。仮にこの数値へ追加分の24億ドルを上乗せした場合、税率は約62%ということになる。
財政予算案公表後にHKJCは声明を出し、政府の決定は理解できるとした上、収入が大幅に減少し、慈善信託基金への拠出に重大な影響が及ぶと指摘。ただし、毎年拠出している恒常拠出分について減少はないとした。