そのような中にあって2011年12年通達だったので「やり過ぎから厳格化」というのは致し方ないくらいに考えていたが、すぐに広告宣伝はカオスと化す。そもそも出玉示唆NGという基本的な考え方があるにもかかわらず「出玉示唆をしたい」という店が、いろんな手法を採用していったからだ。また、各警察本部の所管と遊協組合との関係や申し合わせ等がバラバラ過ぎて、人気ライターが来店する際に店舗名を伏せる告知なども出てくることになる。さらには今なお多いものに、隠語を使ったもの、晒し系などがある。
こういったカオス状態を警察庁は長年、放置してきた。だから「今日は新台とは言えないだろ」と新台入替二日目に「新台」の札を外させる所轄署が出てきたり、折込チラシに新台入替機種を掲載するときに「掲載面積が同じじゃないとNG」という無茶な指導が出てきたり、7月の祝日である「海の日」という文言は「海物語シリーズを一台も導入していない店なら使用してもいい」など、当事者としてではなく、鳥瞰的に(つまり引いて)見ると、およそ行政が言うものとしてはものすごく狂っているという内容が散見されていた。これらはもはや普通には解消する術がないと私は考えていた。
だから、個人的にこの何年も言い続けてきたのは「風営法第16条違反(広告宣伝規制違反)に罰則を規定して警察が積極的に摘発するようにしないと改善しない」というものであった。風営法上は広告宣伝規制違反に罰則はないので刑事事件にはならない。また、無承認変更などの量定の重い違反ではないので、前歴がなければ指示処分も多い。このような軽い違反について警察本部が真剣にやるはずがない、ということを含意しての罰則規定を、という主張であった。
本来は警察庁が全国の警察本部をしっかりとグリップして広告宣伝規制所管を統一させればいいものではあったが、それを今までの担当官たちは避けてきた。その上で昨年中に2012年通達が上書きされるということになって、どのようになるか注目していたわけだ。