1. スマスロ登場で、一気に進む業界再編
9月に入り、管理遊技機である「スマスロ導入」解禁日が発表されたことにより、パチンコ業界は一気に動きが出てきました。まず、スマスロ遊技機が保通協より適合を受けてスペック情報が出てきた事がトリガーになっている点です。特に「万枚突破率」や「出率が非常に高い」という事にホール関係者は高い期待を寄せていますし、一方で過度な期待は禁物で、まず「市場に登場してから」という慎重派もいらっしゃいます。今後は、スマスロをきっかけにホール経営は新時代を迎え、重要な判断を迫られる時期に来た、と言えそうです。
二点目は、スマスロ専用ユニット含む、巨額設備投資案件です。大手ホールは、この限りではないと思いますが、問題はスマスロ登場とほぼ同時に本格的な営業が始まったことで、まだ値段や納期・工事日程が決定する前に受注していく「見込み案件」で動いているという事です。つまり供給より需要が上回っている、とはいえ、供給側の「ほぼ言い値」で営業が行われており、ホールも「NOと言えない」「全てを受け入れるしかない」という状態。半ば異常な形が継続中であると言って良いでしょう。
つまり、スマスロ導入よりも「もし、導入出来なければ、全てのスロットユーザーを競合店に奪われるかも知れない」という強烈な危機感がホールの根底にある、これが三点目です。やや、思いが強い点もありますが「無理をしてでも導入」という判断の店舗が非常に多く、本来ならば少し熟慮し、今後の投資計画・資金の調達方法等、もう一度見直してもらいたいと思うのですが、何より「判断する時間」「情報収集する時間」がありません。その中での決断なので、近未来の営業面は怖い部分もあるようです。
とにかく、スマスロ登場は業績回復の救世主としての期待の高さと同時に、巨額な先行投資が必要で、且つ、すぐに投資回収できるような性質の投資ではない、というリスクも考慮すべきです。スマスロも設備投資も「目的」ではなく「手段」です。一体「何の為?」「誰の為?」の投資で、企業として戦略目標を達成する為の「有効な打ち手なのか?」という部分…改めて、考慮し、判断して欲しいところです。