パチスロ犬夜叉と甲鉄城のカバネリが絶好調のようです。話題性ある出玉が連発しているこの2機種が引っ張る格好となり、現状6・5号機は揃って高い支持率を維持している。11月登場が予定されているスマスロがさらに話題を呼ぶことは疑いなく、いよいよパチスロ始まったな感に安堵しているホール関係者様も多かろうことでしょう。
僕自身、能動的にパチスロを打とうなど久しくなかったのですが、口コミやSNSに引っ張られ、ついに犬夜叉に手を出してしまいました。なるほど、これはヤバいキカイです(笑)。達成感も惜しいも、すべてが自己責任かつ可視化された悪魔のようなゲーム性。そして1でもやれるじゃんと勘違いしてしまう、すぐさま大量出玉に手が届きそうな自力上乗せシステム。しかし当たり前ですがそう簡単にはいかないわけですから、理性を破壊され激しく感情が揺さぶられてしまいます。チクショーうまいこと作ったなぁ、企画した人は天才だよな、そんなことを考えながら、5万ぐらいはすぐ溶けてしまう。ヤバいキカイですよね(笑)。
差枚数2400リミッターの実装でここまで打感は変わるものかと、驚くと共に今後に続く6・5号機には期待しかありませんが、おそらくホール関係者様も同じお気持ちでしょう。犬夜叉やカバネリを超えるマシンも、確実に登場するでしょう。すなわち、結果の出なかった旧6号機を一掃する勢いで6・5号機そしてスマスロへの設備投資が加速する可能性があるのではないか。5号機時代の、パチスロが主軸だった市場への回帰もあり得るのではないか。うーむ、これは良きことかそれとも……?
現行P機の一撃性と出玉スピードによって、パチンコはプレイヤーのみならずホール様の期待にも応えられる十分なスペックを獲得しました。以来、メインを張るマシンでは、多くのホール様で往時の海物語や北斗無双のような薄利運用が定着しています。また、期待感の高まる特日やイベント日には、思い切ったサービスメンテも珍しくなくなり、開店待ちの若いプレイヤーがこぞってパチンコに流れる、一昔前には想像できなかった光景も目にするようになりました。これは旧6号機が「使い物にならなかったから」止むを得ずの側面もあるのでしょうが、スペックと運用が噛み合って、パチンコの可能性を若年層にも周知させた非常に喜ばしいトレンドだと理解しています。
反面、優遇機種と抜き機種の運用格差は広がり、荒いスペックでまやかして時間粗利が上昇中という問題も浮上してきてはいるのですが、せっかく復調のきっかけを掴んだパチンコが、パチスロの復活でまた落ち込むような事態だけは絶対にあってはならない。5号機全盛期は、パチンコをイジメ倒してパチスロのイベントにせっせとつぎ込んでいたホール様が少なくなかった。即効性のある集客はやはりパチスロの施策に軍配が上がりますから致し方ないことかもしれませんが、この期に及んで同じ愚だけは本当に本当にやめてもらいたいのです。
パチスロが優位であった5号機時代、パチンコが牽引している2年前からのP機市場。以前から天秤のようにどちらか「しか」良くなかった歴史が繰り返されてきたこの業界ですが、これからはどちらもが魅力のある、大袈裟ではなく史上最高レベルのゲーム性とスペックでプレイヤーに訴求できるようになります。これは長らく業界に携わってきた人ほど、奇跡的な出来事であると感じられるのではないでしょうか。その奇跡を潰さないでほしい。どっちを打とうか嬉しい悩みを与えてくれる遊技環境を実現してほしい。そうしないと、いくら新時代を迎えるからといって、シュリンクの歯車は逆回転を始めないと思うのですね。
「可能性は、限りなく広がっている」「踏み出そう、次のステージへ」。スマスロのティザー映像はこの言葉で締められています。マシンが変わるだけでは、次のステージには踏み出せない。未来を見据えてこの産業を変えていくのは、ホール様ご自身です。これ以上シメないでパチンコを!心よりのお願いです。
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。