1. 入替依存のビジネスモデルは「遊びづらさ」を加速させる
社会はコロナが落ち着きを見せているものの、戦争長期化による資源高、金融政策による過去に例のない円安もあって、物価高が止まりません。特にエネルギー関係と食料品は、生活に大きな打撃を与え、節約志向はなおも続き、パチンコのような余暇産業は特に大きな打撃です。また、遊技機の供給不足の原因でもある「半導体・部材不足」はこの資源高も相まって急速に悪化、ホール間の「遊技機の奪い合い」は激化しています。
もちろん、遊技機の単価アップも想像を絶する水準でありますが、何より「新台購入出来なくなるかも?」というホールの警戒感・恐怖感は強く、今はなりふり構わず「人気新台遊技機」の購入に全力を向けている、という状態です。何分、営業面で苦戦している為、昔と異なり「人気機種Aが導入出来ないならBを」とはならず、人気機種を持たないメーカーとの格差も広がり、競争はますます激化しています。
結局、このコストを負担するのは全てお客様で、今後、スマパチ・スマスロの巨大設備投資の機会が到来すれば、お店は今以上に「利益回収スピード」を上げていく事でしょう。一方で、高齢者人口のピークを迎える「2025年」まではあと少しで、一気に高齢化社会は進み、当然、老後の生活を不安視する人達が増える社会となります。金銭負担の面からみれば、これ以上「遊技・余暇の金額アップ・負担増」は耐えられなくなり、パチンコやスロットが選ばれなくなる可能性も高くなると予想します。
改めて、これからの社会の動向に合わせた事業モデル模索と同時に、どのようにパチンコ・パチスロをビジネスとして成立させていくか?真剣に議論していく必要があると思います。
2. 高コスト体質のビジネスモデルは払拭できない?
以前にもコラムで述べましたが、現在のパチンコビジネスは「高コスト」ビジネスであり、ハイリスク・ハイリターンです。例えば、4円パチンコなら「1時間で数万円が無くなる、その可能性のある余暇」であり、これを選ぶユーザーは昔よりも限定的で少数になりました。もちろん、こういったヘビーユーザーの売上・粗利貢献度は非常に高く、他店に奪われないよう「新台入替」「出玉戦略」を中心とした投資を継続していく必要性がありますし、従来のような「利益確保」の為に費やす「投資」は大きく、パフォーマンスや効率は悪くなっています。
又、昔からパチンコが好きなユーザーは既に現役を引退し、年金受給者となり、今までのような参加頻度・金額では遊ばなくなった「行動変容」も、パチンコビジネスの根底が変わった理由の一つです。同時に、遊技機の射幸が落ちた事で「投資に対する見返り」と言う点で「コスパが悪いギャンブル」「時間を掛けないと、大きく勝てないギャンブル」という印象が強くなり、多くのユーザーが離反しました。
結果、前述した「参加金額・頻度の高い、ヘビーユーザーの依存度」が非常に大きくなり、他店に奪われない為の「消極的投資」が大きくなって、投資効率を落としているという現状なわけです。残念ながら、市場はシュリンク(縮小)の期間に突入している為、大きな遊技機の「内規変更」や、大胆な規制緩和がない限り、今後数年は現状の厳しい状況が続きますし、これを打開する有効策は現在ありません。