【寄稿】付け焼き刃ではなく(WEB版)/大﨑一万発

総力を挙げた支援も届かず、木村よしお候補は敗れてしまいました。最終盤まで結果のわからぬデッドヒートで善戦はしたものの、しかし負けは負け。全国のホール様が、あと一票ずつ積み上げていれば当選していた……いや、詮ないたらればはやめておきましょう。応援部隊を買って出た者として、責任を痛感しています。申し訳ありませんでした。

決定的に業界票が足りなかった現実への総括は、部外者である身として立ち入ることができませんが、ユーザーへの浸透を図れなかった点は、担った役割を全うできなかった我が身の力不足でもあります。3年前とは異なり業界総力戦となった今回、関わる人や演説会場の熱気を目の当たりにして、業界票で届くのではないかと気の緩みがあったことは否定できません。また、ユーザー向けの具体的な「公約」が出せない中、何をもって応援してくれとPRするのか、最後まで迷いが捨て切れなかったせいもあります。ゆえに、わかってもらおうとする丁寧さもしつこさも欠いた発信に終始してしまった。ユーザー側の、と自覚したつもりでいながら、ユーザーメンタルからかけ離れた物言いを続けてしまったわけで、悔やんでも悔やみ切れない、責を負うべき点であります。

しかし惜敗がゆえに、そして僕自身の関わり方の反省から、気がつかされた部分もあります。それはやはり、口先だけではない「ユーザーファースト」を、日頃から形にしていかなければならない、ある意味では至極当たり前の現実です。3年前と比べ、業界就業人口は4万人減と聞かされています。今後もすぐには業界のシュリンクは止められないでしょう。地域性や自民の地盤差もあり、組織率の劇的向上が見込めない道府県も多い中、業界事情とさらには選挙に興味を持ってもらう施策を、付け焼き刃でなく進めていかなければ、今回獲得できた票数の維持すら難しくなってしまうのではないでしょうか。

今回は、影響力のある複数YouTubeチャンネルが数十万回規模の再生数でユーザー向け発信を行なってくれました。しかし、それは彼らが「自主的に」やった企画なんですね。木村候補が獲得した11万9千票余りの得票のうち、1万、いやもっと多くがユーザー票だったと僕は考えています。乗り出しが早ければ、業界と歩調を合わせて計画的に進めていれば、結果は異なったものになったかもしれません。

そこで重要となるのが、エンドユーザーから支持を得る彼ら(そこには桁は違いますが、僕自身やライター、演者も含まれます)の発信が、業界側だけの代弁と受け取られないよう、エンドユーザーに寄り添った遊技機の提供とホール営業を丁寧に継続していかなければならないということです。ユーザーと業界は敵同士ではない、パチンコあってこその「同志」だという感覚を、言葉だけではなく肌で実感してもらう……。そのベースがあってこそ、発信力のある媒体が力になってくれるのです。しかし、口先で言うのは簡単ですが、厳しさを増す環境下でどのような施策を行えるのか。すぐには答えの見えない難題であるし、正解もひとつだけではありません。業界の本気度が問われてくる取り組みになると思います。

票を投じてくれた名もなきエンドユーザーの期待を裏切りたくはないし、恩に報いる義理があります。次回は、その力に頼らなければ進めない状況になっているかもしれません。選挙前だけ耳障りのいい言葉を並べても、長きにわたって虐められてきた(と感じている)ユーザーは振り向いてくれないでしょう。これからの3年間、大いなる可能性を秘めた票田を活かすために。原点に立ち返った、今さらながらの「ユーザーファースト」の意味を考え直してみましょうよ。自戒を込めて、そう心に誓った大崎一万発です。

■プロフィール
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。

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