警視庁が金地金の賞品提供を容認したあと、警察庁は風営法の解釈運用基準でわざわざ、風営法第23条が禁止する現金・有価証券提供禁止規定について、金地金はこれにあたらないと明記した。警視庁の協力を得て東京は暴排を実現し、それを警察庁が後押しした形になっている。
暴排は1961年に大阪で始まった。たとえば愛知県はそこから2年後の1963年に始まったと記憶している。東京都の場合はそこから30年ほど遅れるわけであり、60年代の大阪と同じようなことができるわけではない。その点、賞品の内容について金地金というものを組合や警視庁が熟考して納得して採用してきたことは、業界の歴史においては大阪方式導入に次ぐくらいのとても重要な行政判断の財産である。
仮に上限額に到達してしまうほどに金が暴騰した場合、1g賞品は提供不可となる。相場だから一日二日くらい超えたところで私の考えではセーフと思っているが、g15,000円などのレベルで推移したらこれは誰がどう見ても風営法違反の状態になってしまう。
この場合、1g賞品をやめるのかどうか。やめた場合、0.3gと0.1g賞品の量は都下のホールの必要量を賄えるほどに存在しているのかどうか。なければ作り直すのか、それは1g賞品を鋳つぶして作るのか、そしてそれは誰がやるのか誰が資金を負担するのか。あるいは風営法施行規則の改正を目指すのか。
ぱちんこ業界全体として見ると、金を採用している割合から考えると、また価格変更の号令が機能していることを考えると、東京都限定の話に見えるかもしれない。しかし、大阪の「暴排と福祉」という業界の金字塔ともいうべき行政判断の財産に次ぐ金地金による暴排は私は重要な財産だと思っている。だから、懸念はあるし問題点も明らかで対応も難しいわけだが、これは必ず乗り越えるべきであり、それは東京都の業界だけではなく業界全体のためにも必要なことだと考えている。
やはり戦争はこのように世の中に甚大な影響を与えるものだった。
■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。