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【コラム】マカオのカジノ法改正案上程 注目ポイントをチェック(WEB版)/勝部悠人

投稿日:2022年2月25日 更新日:

契約事業者及びカジノ業界参入者(社)に対する資格審査と規制メカニズムの強化が盛り込まれた点にも注目したい。カジノ運営事業者が国家(中国)及びマカオ特別行政区の安全に対する脅威となる、あるいは適切な資格を持ち合わせない(疑わしい資金源や犯罪グループとの取引の存在など)と判断された場合、マカオの首長にあたる行政長官が一方的にライセンスを取り消すことができるとしている。また、契約事業者の資本金規模を50億パタカ(日本円換算約710億円)に、マカオ永久居民がマネジングダイレクターとして保有する株式比率を15%にそれぞれ引き上げ、契約事業者または支配株主企業の発行済み株式に占める上場株式の割合も制限するとした。パブコメで物議を醸した政府代表の契約事業者への派遣は企業の業務運営及び独立性に干渉する恐れがあるとして見送られた。

カジノ仲介業者(ジャンケットプロモーター)に対する制限も大幅に強化。サービス提供先は契約事業者のうち1社に限り、特定のスペースを借りて独自のVIPルーム運営することやレベニューシェア契約を結ぶことも不可とされ、コミッションのみを受け取ることができるとされた。契約事業者がコミッションにかかる税金(カジノ売上ベース)を源泉徴収することで透明性を確保するとしている。税率は5%で、交通・宿泊といったいわゆるコンプの部分はコストとして控除対象となるとしている。

ゲーミングテーブルのコントロールについても言及があり、行政長官が総台数の上限及び各台の年間最低売上額を設定し、2年連続で最低売上未達となった場合、政府が削減の権利を有するとしている。現行では新規テーブル割当の申請にあたって一定の総量制限が存在するのみであることから、制限強化と受け取れる。

改正法案は、1月24日のマカオ立法会本会議で賛成多数で一般性通過となり、次のステップである立法会常設委員会での細則性審議に入る。その後、立法会本会議で細則性表決が行われる予定だが、次期コンセッションの一般競争入札プロセスは改正法をベースに展開するため、(現行コンセッションの満期となる)今年6月末までに審議がまとまらない可能性もあり、政府は既存コンセッションを短期延長して対応する考えを示している。

マカオ・コタイ地区に建ち並ぶ統合型リゾート群=筆者撮影

マカオ・コタイ地区に建ち並ぶ統合型リゾート群=筆者撮影

■プロフィール
勝部 悠人-Yujin Katsube-「マカオ新聞」編集長
1977年生まれ。上智大学外国語学部ポルトガル語学科卒業後、日本の出版社に入社。旅行・レジャー分野を中心としたムック本の編集を担当したほか、香港・マカオ駐在を経験。2012年にマカオで独立起業し、邦字ニュースメディア「マカオ新聞」を立ち上げ。自社媒体での記事執筆のほか、日本の新聞、雑誌、テレビ及びラジオ番組への寄稿、出演、セミナー登壇などを通じてカジノ業界を含む現地最新トピックスを発信している。https://www.macaushimbun.com/

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