【寄稿】コロナ禍と総選挙(WEB版)/POKKA吉田

たとえば昨年からずっと犯人扱いされてきた飲食営業。休業なり時短なり酒類提供なしなり、政府と各自治体はずっと要請をしてきたわけだ。その中で「補償を伴わない要請はありえない」という言説が昨年末頃から台頭した。それはそのとおりに違いなく、公費でいままでかなりの補償が支払われている。また、昨年は国民に一律金を配るということもやった。ざっくり1億人に10万円配ると10兆円。これだけでざっと日本の国家予算の一般会計の10%である。先ほども触れたが自殺者数推移が減少から増加のトレンドに反転してしまった。自殺者数増を防ぐために政府が10年単位で政策を積み上げてきた成果が、コロナ禍でチャラになってしまったわけだ。国家予算規模の金を払っているにもかかわらず、である。

武漢でロックダウンしていたのは昨年初頭。そしてそのころ中国では野戦病院のようなペースで患者を収容・治療できる施設を一気に建設していた。日本で野戦病院のような話が政策課題として台頭するのは今年になってから。菅首相(当時)が酸素ステーションの話をしだしてからである。

分科会など専門家が専門分野以外に甚大な影響を与える助言をすることについて、その責任は政府にある。政府は専門家ではないが(厚労省など役所には専門家もいるが)、その優先順位の社会性から政策提言の取捨選択は責任をもって担うことができる。安倍政権から菅政権までのコロナ禍においてその取捨選択は右往左往したからこそのたとえば自殺者数推移だったりするわけだが、今年のワクチン政策はおおむね評価されるべきだろう。

年配者向けの摂取は比較的問題はなかったようで、私の身内も普通に接種できた。ただしそれ以外の接種については政府の見込みが狂った部分もあって、接種券が届いても接種のための予約ができないという状況があちこちで散見されていた。この状況を打破していったのがおよそ8月になってから。私は7月までは自治体の予約がすべて失敗しており、8月上旬に大手町の大規模接種でようやく打つことができたわけだが、8月に入ってから自治体の予約に空きがでてきていることを確認している。気が付けば希望する人のほとんどが接種できるようになっており、大規模接種や自治体の予約、あるいは職域接種を地域に開放しているケースでも最近は空きが目立っているわけである。

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