【寄稿】政局の秋(WEB版)/POKKA吉田

さて、菅首相が退陣することを決めたからか、政府は11月以降の行動制限緩和の方針を固めることとなった。これはかなりの出来事であり、宣言だ飲食だ移動制限だ人流だロックダウンだ、などの「制限をするだけ」という場当たり的な方針ではないからである。制限緩和というのはコロナ禍における出口戦略であり、これがないと日本経済も元には戻れない。ワクチン接種のスピードがこのところ加速しており、本紙が発行される頃には接種率で日本はアメリカを抜いている見込みである。新しい変異も次々現れることから3回目の接種などの施策も併用が必要だろうが、ようやく日本も欧米諸国と同様にワクチンパスポート的な社会に向かおうということである。これを政府が決めたのだから良いことである。

ワクチン接種でいえば、本稿を書いている今、モデルナの2回目の接種の翌日であり、今回は副反応も出ている。具体的には発熱、頭痛、倦怠感などだ。ただ、これは単なる通過儀礼なのでしかたがない。日本社会がどのようなワクチンパスポート化に進むのか、そのときぱちんこ営業はワクチンパスポートをどのように取り入れているのか、これはまだ不明だ。各紙各局の報道は旅行、大規模イベント、酒類提供飲食の業態に絞った報道を続けている。当たり前だがこれらはコロナ禍で最も影響を受けた業態である。

業界的には業界で働く人たちのワクチン接種を職域接種で広めていく、ということに取り組んでいるところが多い。また、企業や団体によっては取引の有無にかかわらず地域住民に職域接種を拡大させているところもある。この一年半、かなり酷い体制のコロナ対策だった東京都のように渋谷に打てずに予約からあぶれる若者を一か所に密集させるような愚と比較すると、業界企業や団体による職域接種の方がよほど良いコロナ対策でありよほど社会のためだった。これからも自治体によっては東京都のようにグダグダなところ、しっかりやるところ、格差は出てくるだろうが、これは我々にはコントロールの方法がない。東京都の場合は昨年、有権者が東京都のトップである小池百合子氏を再選させたのだから、この状況を「誰が悪いのか」と言えば、昨年の東京都の有権者が悪いとしか言えない。

コロナ禍の出口戦略である行動制限の緩和は、10月頃には実験等などの検証も入るそうである。11月になるかどうかはわからないが11月以降にワクチンパスポート化していく流れを菅政権が固めて公表したことは大きい。次の総理総裁が誰になったとしても、自公政権が続く限りこれは継続されていくからである。今のところ政府の行動制限緩和方針について、総裁候補が反論しているケースはない。

本紙が発行される頃には既に総裁選の選挙戦あるいは総裁選の結果が出たあと、ということになるだろう。衆議院の解散の有無や日付によって総選挙の日程は変わってくる。今は自民党総裁選のおかげで政治についての報道はほぼほぼ自民党になっており、誰が新総裁・新総理になっても支持率は高いところからスタートするはずだ。昨年、菅政権が誕生したときは圧倒的な支持率であった。

総選挙で自公が議席をどこまで減らすか、どこで下げ止まるか、過半数確保はなるか、過半数確保できたとして安定多数まで届くかどうか、いろいろ注目点はある。今年の秋は菅首相の事実上の退陣表明で自民党内の政局動向が日本社会を今後どうするか決めていく、という状況になった。総裁選はもちろん総選挙にも大注目である。なので来年の参議院選挙のことは、また今後タイミングを見て触れようと思う。

■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。

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