ぱちんこ業界にとっては直近の話題としてはやはり21世紀会決議改定が最も重要となる。従来の15%ルールから「新規則機の設置割合の新目標」の設定が毎月設定されており、店ごとにどのような入替・撤去をすすめていくかの自由度はかなり高くなった。ぱちんことパチスロが独立で目標値を算出するのではなく合算で算出ということになったことも重要で、たとえばパチスロはもう少し撤去を後にと考えればその分ぱちんこの新規則機導入をすすめれば目標値に達するということでも可なのである。今年のはじめ頃から15%ルールの算出について業界団体間で独立算出なのか合算算出なのか実は懸案事項として協議されていたが、新規則機の設置割合の毎月目標設定とともに合算ということになったのは、多くのホール営業者にとってはかなりありがたいことである。
既に改定前の21世紀会決議遵守のために入替・撤去の計画を持っていたほとんどの店にとっては、決議改定で即日適用となった今、その計画を急いで修正することが必須となっている。おそらく本号が発行される頃には新しい決議に基づいた入替・撤去計画をほとんどの店が用意しており、毎月の新機種リリース状況や中古機市場相場推移などを確認しながら新目標達成を実施していくことになるだろう。期限が延びたと言えば延びたのだが、新目標遵守こそが新しい21世紀会決議内容なので「○○(機種名)はいつまで撤去しなくていい」などの単純な話ではない。最終期限が延びていても新目標を下回る新規則機設置割合の場合は決議違反となるからだ。このため、入替・撤去計画は店ごとにかなり違いが出てくることが予想される。また、スロ専、併設店、ぱちんこだけ、といった、店の作りによっても大きく計画は変わってくることが考えられる。とはいえ、コロナ禍が続いて業況悪化が続く今、警察庁が理解する範囲としてはギリギリの内容だったかと私は評価している。
個人的には3,000ゲーム規制をこの一か月では最重要視している。型式試験申請の時期を考えると、各メーカーが対応機種を本格的にリリースできる時期はやはり秋頃になりそうだが、はやいところは夏にも間に合わせるかもしれない。そもそも昨年末時点から有利区間の上限ゲーム数についての協議は日電協内でも積極的に展開されており、見込みとしても今年のどこかのタイミングで実現するだろうということはわかっていた。このため、そのため用の設計を準備していたところもあるかもしれないし、想定外の規制緩和ということではない。強制終了ゲーム数の緩和がどのようなプラスの影響を与えるかは各メーカー次第にはなってくる。総量だとか一撃差枚数だとか、「出玉枚数」の直接の制限ではない部分の緩和だからだ。その意味では、各メーカーの開発企画の力量に左右されて良いも悪いも結果となる。巷間で言われているような「天井から2,400枚が絶対に獲得できない仕様はなくなっていく」という「だけのものではない」ということは期待も込めて言っておきたい。
6号機市場がぱちんこの新規則機と比較するとどうしても見劣りしてきたのがこの3年間。21世紀会決議は規則附則に照らして業界の取組みとして決まっているものだから、6号機が苦しいからといってパチスロの撤去計画だけ緩める、というようなことはできるはずもない。しかし、各メーカーの力量次第ではあるがこのタイミングで3,000ゲーム規制とすることを警察庁が了承したのは案外大きいことだ。昨年末時点の関係者らの下馬評では、上手くいって今年の6月頃に有利区間ゲーム数規制緩和が実現する、くらいのものであった。その意味では警察庁の対応もはやく、多くのメーカーにとっては想定よりもはやかったということになる。この点が各メーカー関係者が3,000ゲームに関しておおむね良い印象を持っていることにもつながっている。
良い印象を持っているなら、良い機種をたくさんリリースしてもらうように頑張ってもらいたい。ぱちんこは新規則機が絶好調!ということでは決してなく、単純にパチスロ市場との対比で「(その下げ幅は)マシ」と評価されているに過ぎない。もともとぱちんこ市場の緩やかな凋落はかなりの長期間続いており、単純に「パチスロ減台、ぱちんこ増台」で乗り切ることができるほどに簡単な市場環境にはないわけだ。
緊急事態宣言や休業要請等々、コロナ禍関連での一喜一憂は一年でかなり抑制されはじめているように思う。営業権という業界の基本中の基本を手放さずに今年のコロナ禍は過ごせているわけだ。昨年のような狂った業界バッシングも今年は今のところ台頭しておらず、むしろ政府や各知事への非難が急増しているのが現状だ。日本社会は昨年でかなり精神的に崩れており、何かを糾弾したいのだろう。今はそのマトが業界に向いていない。
まだまだ苦しいが、この一か月の環境変化を上手く活用して乗り切っていきたいものである。
■プロフィール
POKKA吉田
本名/岡崎徹
大阪出身。
業界紙に5年在籍後、上京してスロバラ運営など。
2004年3月フリーへ。
各誌連載、講演、TV出演など。
お問い合わせ等は公式HP「POKKA吉田のピー・ドット・ジェイピー(www.y-pokka.jp)」か本誌編集部まで。