パチンコ共和国の住人より①
あけましておめでとうございます。大﨑一万発です。今号より寄稿させていただきます。
コロナ禍の折、現場最前線で奮闘されているホール職域各位に心からの謝意を表しつつハンドルを握る毎日であります。昨年は200万ほど負けましたが、これも「税金」のひとつだとしゃーなし自分を納得させています。って、200万!? 業界関係者からはよく、負けすぎじゃね? とのご意見を頂戴します。普通そんなに負けんやろ、おかしいやろと。
いや負けます、比較的簡単に(笑)。まあ昨年はヒキ弱に偏ったせいが大きいんですが、メチャクチャなクソ台を打つ機会が少なからずあることも関係しています。11割分岐営業で千円13回転とか、ひどいメンテ状況の台のことです。どうしてこんな運用してんだろって、好奇心で続けてしまうんですね。
変動停止時間が長いおかげで、パチンコに没頭するというより思索の時間として台に向き合う貴重な機会ではあるのですが……。最終的にはおおむね「ちゃんとやれよな!」と椅子を蹴って席を立つことになります。負けを承知で打ってはいても、やっぱりクソ台にブッ込むと気分は悪い。勝手なものです。
さて、日常でも「ちゃんとやれ」と怒ったり怒られたりする場面は珍しくありませんが、ではパチンコにおけるちゃんとやる、とは何を言うのでしょう。僕が憤ったのは、もちろんシメすぎに対してです。いやそれだけじゃなく、役モノが壊れたままだったり、そんなの常識って内容しか載ってない遊技説明カードだったり、各台充電はいいけどUSBが死にまくってたり……。遊ばせてくれる台・環境にしつらえていないホールに対し、客はちゃんとやれと不満を抱く。税金なんて払えるかと怒りを爆発させるわけです。
しかし、ホール現場の立場で考えると、ちゃんとやってないわけではなかったりします。指示された利益を確保するにはえげつなくシメるのも致し方ない。雑でおざなりなあれこれでも、予算のない中で精一杯の施策かもしれない。客がどうなのかなぁと感じても、会社の計画通り粛々とやっている。だから(ギリギリかもしれませんが)店は回っている。
さらに推し進めれば、側からひどいホールに思えても、会社としてちゃんとやってるから企業活動が継続できている、とも言えるかもしれません。従業員の雇用を守り、法令を遵守し、地域に貢献し、組合活動にも協力して、堂々と商売をやっているホールが大半です。ド正論を言えば、それで何の問題があるんですかって話でしょう。
パチンコが衰退しているのは間違いないところですが、なくなったら困るのは、業界のみならず客の側も同じです。パチンコは、1千万の国民を抱える「国」。ここにしか住めない民がたくさんいます。業界人は公務員、それぞれのホールは自治体みたいなもんです。国民が政府や行政に文句を言うのは当たり前の話だし、皆を納得させることは宿命的に不可能です。そして国民とは、(誤解を恐れずに言えば)すべからくわからずやだし、単純なアタマでしかありません。ちゃんとやってます、でも町を維持するためにはお金も必要なんですといくら正論を吐いても、税金が高すぎるの一点で伝わらなかったりします。
僕は30年以上この国にいますが、確かに最近の「パチンコ税」は高いと感じます。他の国……、公営競技やらソシャゲやらに移住したくなる国民の気持ちもよくよく理解できるし、新規流入者が少ないのも無理ないと思う。しかしかつては、今の3倍もの人口を抱えた、豊かで幸せな国でした。どうしてこうなった? って、今さら犯人捜しをしても意味はない。税金を下げる策をガチで講じなければならないし、かつてのように納得して支払ってもらえるよう「ちゃんとする」をわかりやすく示していく必要があると思います。
いい国だから住んでみてよと外に呼びかけられる策を、必要以上の重税を国民に押しつけないやり方を、読者の皆様と一緒に考えていきたい。僕もまた、この国にしか住めない共和国住民なのです。今後ともよろしくお願い申し上げます。
大﨑一万発
パチプロ→『パチンコ必勝ガイド』編集長を経て、現在はフリーのパチンコライター。多数のパチンコメディアに携わるほか、パチンコ関連のアドバイザー、プランナーとしても活動中。オンラインサロン『パチンコ未来ラボ』主宰。